日本人がコロナに強いことがデータとして明らかになっている以上、第2波、第3波に対しての対応もはっきりしている。コロナは冬に活性化するウイルスであるから、年内に必ず来るだろう。
「日本人は固有の免疫力をつけているアドバンテージの可能性があるので、このタイミングを活かすべきです。第1波でわかったのは、中堅病院での感染対策が脆弱だったことから、院内感染が生まれてしまったこと。中小病院などの感染対策を徹底的に整備すべきでしょう」(中央大学教授で医師の真野俊樹氏)
基本的に元気な人には、集団免疫でウイルスと共存してもらう。もちろん、ほとんどの場合、無症状のまま、病気にかかったことも知らずに抗体ができていく。そして、医療資源は、徹底的に弱者のために使うのだ。
法政大学経済学部教授の小黒一正氏は言う。
「世界的に見ても、報告感染者数から推計される致死率は1%を切る水準で、ニューヨーク州でさえ0・7%です。日本の死者数の少なさを科学的に究明できることが前提ですが、より重症化しやすい高齢者や糖尿病などの疾患を持つ人々を中心とする感染対策に転換するという政治判断もある」
前出の宮沢氏も言う。
「弱者がいる老人ホームやリハビリ施設、病院といったところの医療従事者、介護者には、抗原検査やLAMP法(PCRの簡易版)などを定期的に実施すべきです」
宮沢氏は、宣言緩和後も、まだ日本が「ゼロリスク」症候群に脅かされていることを嘆く。
「緊急事態宣言の前にピークアウトしていたことが分かった以上、各事業者が知恵を絞っているのに『飲食店は午後10時まで』とか『ライブハウスは営業停止』という問答無用のロードマップを、東京都が示したのは理解できません」
日本人は従順すぎた。すべてはデータが明らかにしている。本当の収束を見るためには、一刻も早く私たちが日常に戻らねばならない。自粛中の空虚な2ヵ月は、それを教えてくれたのだ。
『週刊現代』2020年6月6日号より