中国・武漢が封鎖された1月23日以降も、1ヵ月以上にわたって中国からの入国制限をしなかった日本政府の対応は、批判された。その時期に日本にやってきた中国人は実に190万人近い。
これがK型の蔓延につながったが、結果として、凶悪なG型コロナへの「免疫」獲得につながったというわけだ。
入国制限をしなかったミスこそが、日本を結果的に救ったことになる。
「日本の感染対策は、予算が大幅に削られ、臨床現場は脆弱でした。しかしS型とK型の2つが市中で流行したことにより、重症患者を減らすことができたのではないか」(経済産業研究所上席研究員・藤和彦氏)
また、そもそも東アジアにはSARSの流行以降、さまざまなコロナウイルスが流行しており、その抗体が新型コロナに反応したという仮説(東大名誉教授・児玉龍彦氏)も示されはじめた。別のウイルスにかかっていたのが、結果的に新型ウイルスの免疫となった「交差免疫」という考え方だ。
人種に起因するという説も出てきた。慶應大学医学部教授の金井隆典氏は、白血球の血液型にあたる「HLA(ヒト白血球抗原)」の遺伝子の違いが、死亡者数に関係するとみる。人が持つHLA型はそれぞれ異なるが、人種や民族間での偏りも大きく見られるからだ。金井氏が説明する。
「日本、韓国、台湾、中国といったアジアだけが、人口当たりの死亡者数が圧倒的に少なく、欧米諸国の100分の1です。コロナでの死亡には、人種間での遺伝的な違いが関与している可能性が大きいとみます。日本人特有の遺伝子そのものの特徴が、欧米の人のそれとは違うのではないか」
従来から言われてきたBCG接種が免疫をつくりだしているという考え方も、いまだ有力だ。
以上のような要因が、複合的に起こってきたようだ。ポイントは、日本人は、基本的にコロナウイルスに対する大きな意味での「免疫」ができているということだ。
歴史学者の與那覇潤氏は言う。