京都大学特定教授の上久保靖彦氏らが発表した研究がその嚆矢だ。
上久保氏らは、今回の新型コロナウイルスには大きくS型、K型、G型の3種類があることを突き止めた。
日本では、弱毒のS型が昨年12月下旬の段階で、すでに流行していたが、通常の人ならばほとんど無症状だったため、当時は気付かれることがなかった。このS型が変異したのがK型で、1月中旬から日本に広がった。
欧米の場合、2月1日以降、中国からの入国制限を行ったため、S型は入ってきたが、K型の流入は食い止めた。対照的に日本では、入国制限の時期が3月9日まで遅れたため、S型もK型も3ヵ月近くにわたって流入し続けた。
S型にせよK型にせよ、無症状や軽症がほとんどだから、気付かないまま治癒した場合が多い。
問題はここからだ。
K型が中国でさらに変異したのが、重症の肺炎を引き起こすG型で、世界を恐怖に陥れている新型コロナである。
日本は、S型とK型の両方の免疫を獲得していたことにより、G型の発生は食い止められた。だが、S型だけではG型を予防できない性質があるため、K型が入ってこなかった欧米では、猛毒性のG型が蔓延した――。
つまり、日本人の多くは、すでにコロナウイルスに対する免疫を獲得していたため、感染者数や死亡者数が非常に少なかったというのが上久保氏らの結論である。