世界中の研究者が調査を始めた「日本の奇跡」。日本人がコロナに強いなら、第2波、第3波への対策も変わってくる。安倍総理は、宣言解除の会見で「日本モデルの力を示したと思います」と胸を張った。だが、日本のコロナ死者数の少なさは、自粛とは関係がなかった。多くの日本人は、免疫を持っていたからだ。
これは日本の奇跡だ――そう評したのは、アメリカの一流誌『フォーリン・ポリシー』である。
安倍総理が緊急事態宣言の解除を発表した5月25日、日本のコロナウイルスによる死者は851人だった。
アメリカの9万7720人、イギリスの3万6793人、イタリアの3万2785人といった死者数と比べると、桁違いに少ない。同誌いわく、日本はPCR検査も少なく、ロックダウン(都市封鎖)も非常に甘く、国民の大多数も政府の対応に批判的である。なのに、どういうわけか死亡率は世界最低水準で、100万人あたり5人しか死んでいない……。
コロナ禍が落ち着きを見せ始めた今、世界は日本の状況を「奇妙な成功」として注目している。
厚労省クラスター対策班の4月時点での発表では、何もしなければ41万人の日本人が死ぬはずだった。ところが結局851人にとどまったまま、緊急事態宣言解除の日を迎えられたのはなぜだろうか? 宣言による自粛が効いたからか? 専門家会議が正しかったからか? アベノマスクが効いたのか?
いずれも誤りである。
そもそも、緊急事態宣言じたいは、感染者数や死者数の減少にはほとんど寄与していないことが分かってきたからだ。