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臨床試験

現在進行中の試験
「炎症関連疾患でのペリオスチンを含む蛋白質の機能解析」
診療科: 大阪大学医学部附属病院 老年・高血圧内科、皮膚科、眼科、内分泌腫瘍外科、整形外科
目的: 様々な炎症関連疾患で分泌されているぺリオスチンは、炎症の遷延化や病態の悪化につながっていると考えられています。多岐にわたる臨床の炎症関連疾患とぺリオスチンの関係を検討し、慢性炎症病態での機能的役割や診断的役割を検討致します。(介入試験ではありません。)
対象: 癌を含む、様々な炎症関連疾患
方法: 臨床検体の血液や摘出した組織の一部を用いて蛋白質・遺伝子レベルでの解析を行います。
連絡先:

ご質問がござましたら、ご連絡ください。宜しくお願い致します。
谷山義明(研究責任者) taniyama@cgt.med.osaka-u.ac.jp

関連ページ:
http://www.cgt.med.osaka-u.ac.jp/cont/norm04_d_4h.html

糖負荷試験を用いたアルツハイマー病の新規診断方法の開発

アルツハイマー病症例の脳には「老人斑」が形成され、「アミロイド・ベータ」というたんぱく質が蓄積することが知られている。最も信頼性の高いアルツハイマー病の診断法として髄液中の「アミロイド・ベータ」を計測することが推奨されるが、実臨床では侵襲が高く、検体を得るためのリスクを考えると躊躇されることはしばしばである。現在、補助診断としてCT・MRI・SPECTといった画像診断を組み合わせることでより正確な診断を得ようとされている。しかし画像検査では既に進行した病態しか診断することができず、より早期の診断に用いるには難しいのが現状である。またアミロイドPETも施設が限られ、より広い患者層に対してスクリーニングを行うにはふさわしくない。そのため、世界中でアルツハイマー病を早期診断できるより安価で簡便なスクリーニング方法が模索されている。脳に蓄積されるとされる「アミロイド・ベータ」も通常の血液検査(採血)では、診断に用いることは困難と考えられていた。しかし我々は、アルツハイマー病患者に糖負荷試験を行うことにより、この「アミロイド・ベータ」の変動パターンが、早期スクリーニング目的のバイオマーカーとなる可能性を見出した。詳細については、すでに下記の英文学術雑誌に発表している。

Oral Glucose Loading Modulates Plasma Aβ Level in Alzheimer Disease Patients: Potential Diagnostic Method for Alzheimer Disease. Dementia and Geriatric Cognitive Disorders 2012, in press

この初期検討での成果をより大規模な試験で追証するために現在も上記の臨床試験を継続している。現状ではアルツハイマー病に対する明らかに有効な治療法はない。その治療に当たっては、新しい機序に基づいた治療薬を開発するばかりではなく、薬剤の効果を最大限に引き出すために、より早期に疾患を診断できる方法を開発することも重要となる。本研究の結果はこうしたより安全で有効な診断方法の開発を目的としたものであり、その結果は将来の認知症医療の発展にとって大変貴重なものとなりえる。

関連ページ:http://www.cgt.med.osaka-u.ac.jp/cont/norm04_c_4g.html

終了した試験
「新規抗菌性ペプチドによる難治性皮膚潰瘍治療薬の開発」について

本臨床研究は終了いたしました。

HGF遺伝子プラスミドを用いた下肢虚血の治療のための遺伝子治療臨床研究

短期および中・長期における阪大での治験結果(第1/2a相試験)の詳細は、すでに下記の英文学術雑誌に発表されています。

Safety evaluation of clinical gene therapy using hepatocyte growth factor to treat peripheral arterial disease. Hypertension. 2004 Aug;44(2):203-9.

Phase I/IIa clinical trial of therapeutic angiogenesis using hepatocyte growth factor gene transfer to treat critical limb ischemia. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2011 Mar;31(3):713-20. Epub 2010 Dec 23.

また、遺伝子導入2年後までの長期安全性・有効性成績についての論文が下記英文学術雑誌にアクセプトされ近日発表予定です。HGF遺伝子治療を受けた患者は、2年経過後もABPI、安静時疼痛、虚血性潰瘍サイズの改善効果が維持されていました。2年経過後の大切断発生率は0%、死亡率は9.5%と過去の自然経過報告や他の治療報告より良好でした。

Long Term Follow Up Evaluation of Results From Clinical Trial (TREAT-HGF) Using Hepatocyte Growth Factor Gene to Treat Severe Peripheral Arterial Disease Arterioscler. Thromb Vasc Biol. in press

第3相試験につきましては、2004年から2007年にかけてHGF遺伝子プラスミドの効果、副作用を検討するため、第3相試験(多施設によるランダム化プラセボ対象臨床試験)が40症例で行われました。従来の内科的治療に反応せず、外科的治療が困難な症例に対して実施されました。治療から12週目の時点で全体で70.4%の患者様が主要エンドポイントである安静時疼痛の改善、潰瘍サイズの縮小を認め(偽薬群30.8%)、特に、重症な患者様における潰瘍サイズの減少は100%(偽薬群40%)でした。24週目の時点でも治療効果は持続していました。遺伝子投与に起因すると考えられる重篤な副作用の発現は認められませんでした。詳細につきましては、すでに下記の英文学術雑誌に発表されています。

Randomized, double-blind, placebo-controlled clinical trial of hepatocyte growth factor plasmid for critical limb ischemia. Gene Therapy. 2010;17:1152-1161

E2Fデコイ核酸医薬の下肢血管狭窄または冠状動脈狭窄へのステント後再狭窄に対する探索的臨床研究

本臨床研究は終了いたしました。

NFkBデコイ核酸医薬の下肢血管狭窄または冠状動脈狭窄へのステント後再狭窄に対する探索的臨床研究

狭心症の治療で行われる冠状動脈ステント留置術では、留置後の再狭窄が問題となっています。この再狭窄に対する核酸医薬(NFkBデコイ)の有効性の検討(第1/2a相臨床試験)を大阪大学、九州大学、東京医科歯科大学の3施設で行い、良好な結果を得ました。

冠動脈狭窄のある17症例にステント留置後、NFkBデコイを留置部に局所投与しました。6か月後の検査で再狭窄は1例のみと、高い再狭窄予防効果を認めています。また治療に関した重篤な副作用はなく、安全性にも問題ありませんでした。詳細につきましては、すでに下記の英文学術雑誌に発表されています。

Long-term follow up of initial clinical cases with NF-kappaB decoy oligodeoxynucleotide transfection at the site of coronary stenting. J Gene Med. 2008 Jul;10(7):805-9.

この研究はさらに発展しており、現在開発中のNFkBデコイをコーティングした血管拡張用バルーンカテーテルは、動物実験で高い治療効果を示しました。ステントとの併用療法に加え、ステントの適応とならない病変に対する有効な治療法としても期待されています。現在、シャントトラブルに対する臨床研究の準備が進み、近いうちに開始予定となっています。

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