遺産分割協議書に誤った実印で押印してしまったときは?
相続発生後は、全員の協議によりその後の相続方針を決めていきます。
話し合いがまとまったときに作成する書面が「遺産分割協議書」です。
遺産分割協議書に間違った印鑑で押印してしまったときはどう対処すればよいのでしょうか?
このページでは「遺産分割協議書に間違った実印で押印したときの対処法」について解説いたします。
遺産分割協議書の作成
当事者全員での話し合いがまとまったときに作成するのが「遺産分割協議書」という書類です。
この書類には、
・どの遺産を
・誰が
・どの割合で
承継するのかを記載します。
記載内容は、前もって合意した内容をそのまま記述します。
各相続人が署名押印をする
なお、遺産分割協議書は末尾部分に各人の署名捺印が必要です。
具体的には
・住所氏名の記入
・押印
が求められます。
押印がない場合には、遺産分割協議書とはなりません。
押印前の段階では「遺産相続の内容が記載されているただの紙」としか扱われません。
各人が署名捺印をして、はじめて法律文書(遺産分割協議書)としての効力を持つのです。
押印は個人実印で行う
なお、押印する印鑑は「個人実印」が求められます。
書類調印の際には、
・個人実印で押印
・印鑑証明書の添付(実印の証明のため)
が必要となります。
各種名義変更を行う際には、「実印押印+印鑑証明書添付」でないと手続きを受け付けてもらえないためです。
誤った実印で押印してしまったときは?
ただ、個人実印というのは中々使用するものではありません。
そのため、実印を間違えてしまうということも稀にあります。
・他の家族の実印で押してしまった
・実印でない印鑑(認印)で押印してしまった
ということが実際に私が担当したケースでもありました。
さて、このページの本題です。
このような場合はどのように対処すればよいのでしょうか?
正しい実印で押しなおす
誤った実印で押印した場合には「正しい実印での押し直し」が必要です。
先ほど「各相続人が個人実印での押印が必要」という説明をいたしました。
したがって、正規の実印で押し直す作業が必要となるのです。
隣に押印しなおせばOK!
この場合は、間違えて押してしまった印鑑の隣に「正しい実印」で押印しなおせばOKです。
下記のように、隣に実印で押印しておけば問題はありません。
書類を一から作り直す必要はない!
なお、押印する実印を間違えてしまった場合でも、遺産分割協議書を一から作り直す作業は不要です。
そもそも、この作業はとても大変で面倒です。
となりに「正規の実印」を押しておけば全く問題はありません。
間違えた印鑑は消さなくてOK!
間違えて押した印鑑については、そのまま放置で大丈夫です。
わざわざ消す作業を行う必要もありません。
(「墨消し」という道具を使用すれば消すことも可能ですが。)
間違えておされた部分は「余事記載」として扱うことができます。
(余事記載:関係ない記載内容として扱うことができる)
そのため、そのままの状態で大丈夫という結論になります。
実印を押す前に印影の確認を!
なお、このような面倒な手間を防ぐためには「事前に印影の確認」をしておくと良いでしょう。
1.別の紙に試しに押印をする
2.印鑑証明書を見ながら、自分の実印かどうか事前チェックする
という作業をすることをお勧めいたします。
まとめ
ここまで「遺産分割協議書に誤った実印で押してしまったときの対応」について解説いたしました。
隣に押印しなおせば良いと覚えていただき、今後の遺産相続にお役立てください。
・間違った実印(他家族の実印・認印)で押印するミスも有り得る
・この場合は、となりに正規の実印を押印しなおせばOK
・いちから書類を作り直す必要もない
・間違えた押印はそのまま放置で良い