[東京 18日 ロイター] - 安倍晋三首相は18日、通常国会閉会を受けて記者会見し、河井克行前法相と妻の河井案里議員が公職選挙法違反の疑いで逮捕されたことについて「大変遺憾だ。任命した者として責任を痛感しており、国民に深くおわび申し上げる」と陳謝、「自民党総裁として襟を正し、説明責任を果たす」と述べた。同時に来年9月までの任期を全うする決意を改めて強調した。
<信を問うべき時は躊躇なく解散断行>
地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備計画の停止を受けて、安全保障政策について今夏、国家安全保障会議(NSC)で議論し、新しい方向性を打ち出したいと述べた。
早期の衆院解散について「頭の片隅にもない」としつつ、「国民に信を問うべき時がくれば、躊躇(ちゅうちょ)なく解散を断行する考えに変わりはない」と明言した。
<ポスト安倍「育てるより活用するもの」>
来年9月の自民党総裁任期を踏まえた「ポスト安倍」に関連し、「残された任期を全うしたい」、「国民の雇用を守り抜き、東京五輪・パラリンピックを開催する責任がある」などと強調。
意中のポスト安倍について質問され、「後継者は育てるものでなく切磋琢磨(せっさたくま)するもの」と表現。連続在任最長記録の佐藤栄作首相を引き合いに「佐藤氏も田中角栄氏を活用した。私も後継者を育てるというより活用させていただく」と述べた。
東京五輪の開催を巡って「1年程度延長して実施する考えに変わりはない」とした。新型コロナウイルスに対応したワクチンを「世界の英知を結集して開発したい」と強調した。
<改憲議論の停滞「国会みなの責任」>
与党内で一部取り沙汰されている早期の内閣改造の可能性や、安倍首相自ら4選を目指す公算については否定した。
憲法改正に関連し、通常国会期間中に憲法審査会が1回しか開催されなかったことを「大変残念」とすると同時に「改憲議論が進まないのは国会みなの責任。(改憲に)反対なら反対の議論をすべきだ」と訴えた。総裁任期中の憲法改正への意欲を改めて示した。
財政健全化への取り組みに関しては「危機にあたっては最優先で考えるべきではない」と述べた上で「債務残高がどれだけ増えても問題ないというわけではない」と指摘。事態終息後はデフレ脱却と経済再生を確かなものとし、財政健全化も進めると語った。
横田めぐみさんの父滋さんら拉致被害者家族の相次ぐ死去に関連し、「大変責任を痛感している」と述べ、「拉致問題は今後も政権、私の最重要課題」と強調した。
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(竹本能文 編集:内田慎一)