理化学研究所などの研究チームが、新型コロナウイルスの飛沫感染などについて、次世代スーパーコンピューター「富岳」を使い、せきや会話で飛ぶ飛沫が湿度の違いでどう広がるかをシミュレーションした。
湿度30%の乾燥した室内では、飛沫は空気と混ざって乾燥するため、2m離れた向かいの人まで届く。
一方、湿度が90%と高い室内では、飛沫は乾燥しづらく遠くまで届かない一方、机の上に落ちやすいことが分かった。
理研の坪倉誠チームリーダーは、乾燥した室内では空気中を漂う微粒子・「エアロゾル」による感染リスクを指摘。「梅雨」などの湿った時期は、机などをこまめに消毒することが有効だという。
坪倉チームリーダーの話「(湿度が低いと)乾燥が進みますので、空気中を漂うエアロゾル感染のリスクは高まる。一方、湿度が高い時は、机の上に落ちる量が増えます。接触に対する感染リスクが高まる」
さらに、経済活動の再開で乗客が増えている電車内の混雑を避けることが重要なことも分かった。
窓を開けた状態で、160人の定員に対し、約230人が乗った満員電車では、換気にムラができ、空気がよどみやすくなっている。しかし、乗客が18人と少ない場合は、十分に換気されていることが分かった。
坪倉チームリーダーは「まずは過密状態を避けるということ。窓を開けてやると、1人当たり使える空気が3倍くらい増えるので、非常に効果がある」とも指摘している。
研究チームは、学校の教室内の飛まつの広がり方なども調べていて、「コロナ後」を見据えた研究結果を提言していきたい、としている。