米労働省が18日発表した失業保険の新規申請件数(季節調整済み)は、13日までの1週間で150万8千件となり、前週(156万件)から微減にとどまった。6日の週の受給者総数も2054万人と、前週(2060万人)比ほぼ横ばいで、雇用の持ち直しは極めて緩やかだ。
週あたりの失業保険の新規申請件数は市場予測(100万件程度)よりも多かった。新型コロナウイルスが深刻になった3月下旬は週600万件を大きく超えたが、経済活動の再開で足元では徐々に減速している。ただ、コロナ危機前の申請数は週20万件程度で、労働者の解雇は引き続き高水準だ。
失業保険の総受給者数は、5月第2週の2491万人をピークに悪化に歯止めがかかっている。5月の失業率は13.3%と、市場の予想に反して前月(14.7%)から改善に転じた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長も10日の記者会見で「雇用悪化は底を打った可能性がある」と指摘した。
ただ、保険受給者数の改善ペースは再び鈍化しており、トランプ政権が望むV字回復とはほど遠い。失業率も金融危機時のピーク(10.0%、09年10月)を大きく上回ったままだ。5月の失業者数は2000万人を超えたままで、労働市場の再生には相当な時間がかかる。
米経済は営業活動の制限緩和で職場復帰が進みつつある。「感染爆発」によって経済活動が大幅に制限されたニューヨーク州も、飲食店などの営業制限が一部緩和された。5月の全米の小売売上高は4カ月ぶりに増加に転じ、個人消費にも底打ち感がある。
ただ、大量の失業を生んだ飲食業は現時点でも収容制限が残っており、FRBの予測では失業率は10~12月期時点でも9%台までしか回復しない。経済再開で先行したテキサス州などでは「感染第2波」の懸念も強まっており、雇用の持ち直しが遅れる可能性がある。