公職選挙法違反の買収の疑いで河井克行前法相(57)と妻の河井案里議員(46)を逮捕。
安倍首相も「責任を痛感している」と陳謝した。
18日午後5時前、河井克行容疑者を乗せた車が東京拘置所へ入っていった。
そして午後5時すぎには、河井案里容疑者を乗せたとみられる車が東京拘置所の中へ。
議員夫婦からそろって容疑者へ。
18日、公職選挙法違反の買収の疑いで東京地検特捜部などに逮捕された、前法相の河井克行容疑者と妻で参議院議員の河井案里容疑者。
克行容疑者は、2019年の参議院選挙で案里容疑者を当選させるため、91人に対し、票の取りまとめなどを依頼。
その報酬として、116回にわたり、あわせておよそ2,400万円を配り、案里容疑者も克行容疑者と共謀し、5人に票の取りまとめを依頼。
あわせて170万円を配った疑いが持たれている。
広島県民「この数カ月、何の仕事されたのかしらと思う」、「上に立つ人がそんなことやっちゃいけないなと思います」
関係者延べ96人におよそ2,570万円という、大がかりな買収事件。
その舞台となった2019年7月の参議院選挙。
案里容疑者は広島選挙区から出馬したが、同じ選挙区にはもう1人の自民党候補、現職の溝手顕正候補がいた。
この選挙戦で、自民党本部は案里容疑者の陣営に溝手氏の1,500万円に対して、その10倍にあたる1億5,000万円の選挙資金を提供。
さらに、案里容疑者の元には次々と大物議員が駆けつけ、結果、案里容疑者のみが当選した。
夫・克行容疑者はその後、法を司るトップ、法務大臣として初入閣を果たし、まさに順風満帆と思われた。
しかし翌月、案里容疑者の公設秘書らが、車上運動員たちに法定上限を超える報酬を支払っていた疑惑が発覚。
後に逮捕、起訴され、16日、1人に有罪判決が言い渡されている。
事件の捜査の過程では、検察当局が河井容疑者らの自宅から、現金の配布先とみられる100人以上の地元議員のリストを押収していた。
河井案里容疑者(6月9日)「(買収行為はあった?)全くありません」
これまで疑惑を否定してきた河井夫妻。
逮捕後、克行容疑者は、接見した弁護人に「不正な行為はしていません」と主張していたという。
一方、地元議員らの大半は、これまでの任意の調べに対し、現金をもらったことを認めていて、特捜部などは、その聴取の内容を一部録音・録画している。
現金を提供された地元関係者「(克行容疑者が)なんか知らんけど、封筒みたいなものを出してきた。選挙するから、いろいろガソリンいるじゃない。(費用の)足しにしてくれと言って」
克行容疑者を法相に任命した安倍首相は、18日夜の会見で陳謝した。
安倍首相「わが党所属であった現職国会議員が逮捕されたことについては、大変遺憾であります。かつて法務大臣を任命した者として、その責任を痛感しております。国民の皆さまに深くおわび申し上げます」
選挙の公平性を大きくゆがめる買収行為。
自民党の二階幹事長は、案里陣営に提供された1億5,000万円の選挙資金について、「支部の立ち上げにともなう党勢拡大のための広報紙を複数回、全県に配布した費用に充てられたというふうに報告を受けている」と述べた。
今後の捜査次第では、河井容疑者夫妻のみならず、政権へのダメージにもつながる可能性がある。