【パンセー79】
夢中になっていたことから離れることによる。
ある男が楽しく夫婦生活を送っている。
五、六日楽しく遊んで暮らすとしよう。
古巣に帰ると、みじめなものだ。
これほどありふれたことはない。
「はっー、かったるいなぁ…」。
「あー、しんど…」。
私たちの生活には、「かったるい」、「しんどい」
と感じることがたくさんあります。
では、
このかったるさやしんどさの正体は
一体何なのでしょうか?
パスカルは人間のありようについて、
「倦怠」感を感じやすいことが特徴だと指摘しています。
「倦怠」感を感じやすいとは、
要は、
かったるくなりやすいということです。
そして、
パスカルは、倦怠感は
「夢中になっていたものから離れる」ことで
起きるといいます。
今回のパスカルの言葉にある例は、
昨今、有名人の不倫報道が相次いでいることもあり、
なかなか辛辣で皮肉なものに見えます。
ですが、
「夢中になっているものから離れること」が、
「かったるさ」の背景にあるということは、
私たちの生活を振り返れば、
多くのことに当てはまります。
例えば、
旅行やイベントなど、
自分が楽しみにしていたことが
終わった後のことなどを想像してみてください。
確かに、
終わった直後は満足感があるかもしれません。
ところが、
その時が楽しかっただけに、
普段の生活とのギャップを感じてしまい、
「あー、あの時に戻りたい」と思ってしまいます。
その結果、残ったのは、
ただ、今の生活がかったるいという
「倦怠感」だけになってしまいます。
また、
「隣の芝生は青い」ということわざがあります。
これは、
「ほかの人のものは、
自分のものより何でもよく見えてしまう」
ことを指します。
これも倦怠につながりやすいのです。
例えば、
自分の仕事が楽しいと思っていても、
もっと、自分より楽しそうに仕事している人をみると、
急に自分の仕事が嫌なものになり、
突然、夢中になれなくなってしまうことがあります。
そして、
倦怠に陥ってしまうということも
しばしばあるでしょう。
このように、
人間には「倦怠」に陥りやすい傾向があることを
パスカルは指摘しているのです。
よって、
ここから引き出せる教訓は、
「なにごともほどほどに楽しむことが大事」
ということでしょう。
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(ただし皮肉ばかりです)
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