中原 先進国では製造業が苦境に陥って久しいですが、私はあらゆるモノがネットにつながるIoTのビジネスを活用すれば、製造業はまだまだ成長できると思っています。
さらには、日本企業がIoTの分野でビジネスを磨くことができれば、GAFAやBAT〔※BAT=百度(バイドゥ)、アリババ、騰訊控股(テンセント)の頭文字〕に遅れを取ることはないとも考えています。
IoTの分野で最先端を走るコマツの礎を築いた、坂根さんはどのようにお考えですか。
坂根 GAFAやBATと呼ばれるデジタルプラットフォーマーがハードウェアそのものに関わって、ハードウェアの重要なカギとなるものを握っているかというと、そういうわけではないんですね。
公共データや個人データだけを握っている彼らに対して、我々コマツがやろうとしているのは、BtoBの限られた領域のなかで、今まで「見える化」できなかった世界をデジタル化によって「見える化」して、ハードとソフトを合体(いわゆるCASE)して徹底的に現場の無駄を省き、作業の効率化を図っているということです。
土木の現場は日本だけではなく、世界でもデジタルの世界とはかけ離れたオールドエコノミーの世界ですが、優れた画像解析技術を搭載したドローンが土木現場全体のデータを3次元データ化して、そのデータをインプットした建設機械が指定したとおりに動く仕組みが、「スマートコンストラクション」というビジネスモデルになって2015年の1月から始まりました。
全体のマネージメントと建設機械はコマツ、画像データを解析するドローンはアメリカのスカイキャッチ、ドローンの自動操縦はエヌビディアと、強みのある技術が組み合わさっているんですね。