◆ 名前 : ムーン
◆グループ: トランスフォーマー
◆ 役割 : ガイア監視員
◆ 変形 : メカウサギ
◆シリーズ: トランスフォーマー ビーストウォーズⅡ
◆応募開始: 1998年7月初旬
◆ 価格 : 非売品
パッケージ
ビーストウォーズからユニクロントリロジー時代の
抽選プレゼント品の箱は、通常版と同じ物か、
無地の白い箱が基本だった。
ムーンの箱は透明フィルムの窓が付いた
凝った構造になっており、特別感がある。
ビーストモード
ビーストウォーズⅡのオリジナルキャラクター、
メカウサギのムーンが、アニメそのままの
イメージでトイとして登場した事に
多くのTFファンは目を奪われた筈だ。
生体とメカが融合した独特なスタイルと
愛嬌のある表情、長い腕と短い脚等、
可愛らしさが際立った異例のTFトイだ。
リア
ビーストウォーズ玩具のノウハウが活かされており、
全身各所の関節にはボールジョイントを多用。
首、肩、股関節、足首、尻尾に加え、長い両耳の基部も
ボールジョイント接続なので自在に動く。
腰の回転、肘と手首には可動軸も備わっている。
G1、G2、ビーストウォーズを合わせた、
それまで存在していた全てのTFの
デザインを超越した、マンガ的、
或いはアニメ的な姿が特徴。
大きな瞳にハイライトも描かれている
表現が非常にアニメ的である。
マスコットキャラとして可愛らしさが
強調されており、『恰好良い変形ロボット』という
トランスフォーマーの遵守されてきた概念を
根底から覆した革新的なトイだ。
これはムーンが元々アニメオリジナルキャラクターで、
商品化など微塵も考慮しないで創作されたからである。
トランスフォーマーはメーカーのタカラ、
又はハズブロがデザインを考案しているので、
当然商品化も検討した物となる。
まず玩具開発が先で、それを基に
アニメ設定を作るのが基本だ。
後年の実写映画等は状況が変わるが、
それ以前は殆んどトイ開発が先行していた。
玩具よりアニメ設定の方が先に作られた1986年の映画
『トランスフォーマー ザ・ムービー』の新キャラクターも、
変形トイとして製作されるという事が
決定している上でのデザインである。
しかしアニメデザイナーは玩具になった場合の
現実的な変形工程などは考えていないので、
玩具化を依頼されたタカラの開発チームは苦労した模様。
ムーンの場合はTFザ・ムービーとは全く異なり、
初めからアニメオンリーのキャラとして考案されている。
アニメ製作側が創作したキャラクターなので、
ムーンのデザインにタカラは全く関与しておらず、
当初は玩具化の企画も無かった。
それでも変形ロボットの『トランスフォーマー』という作品故か、
ムーンはビーストモードに加えロボットモードも設定されている。
更にその変形プロセスは理に適った物だったので、
これに目を留めたタカラ開発陣が
ムーンの玩具化が実現可能と判断したのだ。
TFザ・ムービーキャラと同じくアニメ由来のムーンだが、
本来は玩具化を想定していなかった所が大きな相違点だ。
この様なキャラは従来のTFアニメやマーベルコミックス、
テレビマガジンの漫画等にも登場しているが、
製品化された例はムーンが最初の第一号だったのだ。
この開発方法はTF史に残る革命的な物となった。
ムーン、変身!
ビーストモードとロボットモードの上下が逆転する
逆立ちスタイルの変形は、アニメの変形シーンと同じ。
ロボットモード
玩具化を一切考慮していなかったにも拘わらず、
アニメのイメージ通りにトイを造り上げてしまう
タカラ開発陣の手腕には驚かされる。
ビースト、ロボットモード共にアニメ設定の
再現度は高く、更に変形工程もアニメに
準じているという、非の打ち所が無いトイだ。
リア
アニメ設定のムーンは若干クリーム色掛かっている
淡い色だったが、プレゼント版ムーンの成形色は
パールホワイトで白ウサギのイメージが強調されている。
全身の各部も綺麗に塗装されており、
アニメ設定を可能な限り再現している。
ロボットモードのつま先に加え、ウサギモードの
つま先がロボットの踵パーツに変化している為、
接地製も良く、フルポーザブルの可動も備えている。
更にボディ内部には独自のギミックも
内蔵しているという、遊びの幅が広いトイだ。
スライド
胴体に配置された球体のデザインを、
トイではスライドムービーにしてしまう
予想を大きく超えるアイディアが凄い。
腹部の窓から覗くと、内蔵された12枚の
フィルム画像を見る事が出来る。
ボディの上半身はスイッチも兼ねており、
下方に動かすとフィルムが切り替わる。
ムーンは惑星ガイアの監視員の一人である。
惑星ガイアの衛星である月に本拠を置き、
パートナーの女性アンドロイド・アルテミスと共に
ガイア全域の動向を把握し、あらゆる異変も察知する。
月の内部から宇宙空間を挟んだ惑星ガイアの
空中、地表、海中や基地内部まで見渡す事が出来る。
更には惑星規模で考えれば非常に小さい
身長数メートルしかないトランスフォーマー達を
個別に識別して観察する事が可能という、
驚異の遠距離監視能力を備えている。
ムーンは月のコンピューターに蓄積されている
惑星ガイアや各種データの管理も担っており、
アルテミスが察知した問題や疑問の答えを
逸早くデータベースから導き出す。
その情報量は際限を知らず、初見である筈の
新型トランスフォーマーに関する能力や性格、
武器等の秘匿性が高いデータすら所有している。
ムーンとアルテミスはガイアを監視する事が任務なので、
ガイアで起こる事柄に関しては静観の姿勢が基本である。
しかし惑星ガイアに害を及ぼす問題が生じる場合は
この限りではなく、ムーンがガイアに赴き
事案に対して介入する事も辞さない。
月から惑星ガイアに移動する際は、
基本モードのメカウサギから
ヒューマン型のロボットモードに変形する。
更にボディは球体の光のバリアで覆われ、
正に光の速さに近い超高速のスピードで移動して、
数秒の内に惑星間を行き来してしまうのだ。
バリアに加えてムーンは干渉出来ない監視者故か、
強制的なステルス機能が常時稼働しており、
ライオコンボイ達トランスフォーマーが
ムーンの姿を目にする事は出来ない。
視覚だけではなくムーンが発する音声も
通常のトランスフォーマーには聞こえず、
恐らく各センサーにも反応しない。
この為、ムーンが惑星ガイアで問題処理を
行う際は孤軍奮闘するしかない。
サイバトロンとデストロンの激しい戦闘の中、
武器も戦闘力も無く、誰にも気付かれないムーンが
行動する事は多大な危険と困難を伴う。
事実、戦闘の爆発に巻き込まれた事もある。
例外としてライオジュニアにだけは
ムーンの声が届き、半透明の姿を見る事も出来、
ムーンの存在をキャッチする事が出来る。
ライオコンボイのマトリクスの神秘の力により
惑星ガイアで誕生したライオジュニアだけに、
『ガイア』の代行者たるムーンと
意思疎通が出来るのかもしれない。
ムーンのトイは抽選プレゼント品として初登場した。
『ビーストウォーズメカウサギ「ムーン」プレゼントキャンペーン』は、
1998年7月初旬よりスタートし、同年9月11日(金)が応募締切日だった。
即ち、子供の夏休み期間を挟んだ
夏季のテコ入れキャンペーンである。
応募条件はビーストウォーズ玩具の
パッケージに印刷されている
ビーストポイント3点以上を一口として
ハガキに貼って応募するという物。
ビーストポイントは、おおよそ750円から
1000円につき1点という割合。
ムーンは抽選で合計2000名にプレゼントされた。
後にムーンのトイはイエローカラー版が
『S-2 ムーン』として一般発売される事となる。
当時発行されたビーストウォーズⅡの書籍には、
プレゼント版ムーンの超人気に答えて
商品化が実現したとされている。
しかしキャンペーン終了後から1ヶ月半ほどで
イエロームーンは発売されているので、
元々商品化する事が前提であった事が分かる。
実際、プレゼント版に付属する説明書は商品版と同じ物だ。
プレゼント版のホワイトカラーと全く同じトイにせず、
商品版はイエローカラーにして差別化している事は評価出来る。
ムーンは抽選プレゼント品として初登場したトイなので、
キャンペーン告知での名称は当然『ムーン』であった。
後発の商品版のイエロームーンも同じく『ムーン』で、
双方を区別する名称は作られなかった。
しかし抽選品のホワイトムーンと共に送られた
当選通知には『特製ムーン』と記載されており、
プレゼント版独自のトイである事が強調されている。
ムーンは従来のTFトイのカテゴリーを打破する様な、
意外性に満ちた画期的なアイテムで、
トイ開発の経緯も特異な物となった。
アニメ由来で玩具が造られるとは
考えもしていないキャラだった為、
ムーン プレゼントキャンペーンに驚き、
発奮したファンは多かった事だろう。
アニメ製作者が創作したキャラを製品化した
ムーンは、トランスフォーマートイの
新たな道を切り開いた特別なアイテムなのだ。
◆参考にならない比較◆