警視庁は2020年6月1日に、新型コロナウイルス感染防止のため、4月15日から中止していた運転免許の更新業務を6月1日から段階的に再開すると発表した。
しかし、6月2日に感染者が増加したために「東京アラート」が発令されたものの、当初の予定から変更はなく再開された。
2020年6月15日現在、運転免許更新手続き(警視庁は6月11日更新)はどうなっているのか、改めて紹介していきたい。
文/岩尾信哉
写真/ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】各都道府県の運転免許更新手続き再開の状況は?
コロナ禍により免許更新手続きはどうなった?
2020年4月15日に警視庁は、同月7日に政府が出した「緊急事態宣言」を受けて、運転免許更新手続きを休止すると発表した。
具体的には、警視庁および千葉、神奈川、埼玉、大阪、兵庫、福岡の各都府県警本部は、新型コロナウイルス感染対策の一環として、運転免許の更新、高齢者講習、学科・技能試験などを休止することになった。
更新手続き延長の対象となったのは、「運転免許証の有効期間が令和2年7月31日までの方、またはすでに運転免許証の有効期間の延長措置の手続を行い、延長後の有効期間が令和2年7月31日までの方」とされている。
上記対象期間に免許の更新期日がある場合には、「運転免許証の有効期間の延長手続」をしたうえで有効期限が延長され、手続を行わない場合には有効期間は延長されず、免許に記された有効期間日に運転免許は失効すると説明されていた。
この発表当初は、更新延長の手続きの方法は、運転免許試験場および運転免許更新センター、警察署に直接出向いて手続きをとる、もしくは直接免許証を送らず、公式サイトから「更新手続開始申請書」と「郵送依頼書」をダウンロードして、免許証のコピーを添付したうえで送付することとなっていた。
実は筆者は去る3月26日に東京都府中市に免許更新手続きをしたばかりだった。春休み末の免許取得するための学生で溢れていてほぼ「3密」状態。「大丈夫かな」と思ってはいたが、さすがに翌月の初旬に手続きが休止されることは想像もしなかった。
発表では「新型コロナウイルスへの感染やそのおそれを理由として運転免許証の通常の更新手続を行えなかった方は、運転免許の延長や失効手続をすることができます」と説明されていたが、6月11日に、延長手続の対象が拡大され、代理人、郵送による延長手続ができるようになった。
■運転免許証の有効期間の延長手続を既に行った方
●延長後の有効期間が1ヵ月未満の方。
●更新場所は、延長手続の際に指定した更新場所に限る。
■運転免許証の有効期間の延長手続を行っていない方
●有効期間が1ヵ月未満の方(今年の誕生日を迎えられた方)。
●更新場所は、運転免許試験場(府中、鮫洲及び江東の3試験場)のみとなる。ただし、高齢者講習を受講済みの方は、すべての更新場所で更新手続を行うことができる。
通常の更新手続き方法
さて、ここで改めて通常の場合の手続きを確認しておくと、運転免許の更新手続きが可能な期間は、有効期限が満了する年の誕生日の前後1ヵ月間が設定されている。それでは更新をうっかり忘れての失効や、事情があって上記の期間内に更新できなかった場合は下記のようになる。
1/失効から6ヵ月以内:特定失効者向けの講習を受講して適性試験に受かれば新しい免許が交付される。
2/失効から7ヵ月以上、12ヵ月以内:大型免許、普通免許の仮免許の学科試験と技能試験を受けずに済む(仮免許の状態で5日以上の路上研修が必要)。
3/失効から1年以上経過:免許試験を受ける必要あり。
4/海外での居住や病気などの特別な事情で失効したケース:6ヵ月以内であれば特定失効者の向けの講習を受講して適性試験に受かれば、新しく免許の交付が可能。
運転免許は優良運転者、一般運転者、違反運転者、初回更新者という区分があり、それぞれに対応した講習を受ける必要があり、70歳以上の高齢者は、高齢者講習を受講しなくてはならない。
たとえば、東京都での免許更新を受け付ける場所としては、運転免許試験場、運転免許更新センター、指定警察署、島部警察署で手続きができるということになる。
緊急事態宣言解除後、現在の手続き方法
2020年6月1日、警視庁は5月25日の政府による緊急事態宣言解除を受けて、段階的に免許更新手続きを段階的に再開する旨を発表した。
首都圏でも2020年6月1日から段階的に再開! 運転免許更新のための最新情報
それでは、警視庁のホームページに「お越しの際は、マスクの着用に御協力を」と前置きしたうえで、現状(6月11日以降)の手続きの内容が説明されているので抜粋してみよう。一番に確認しておきたいのは「手続対象者」だ。以下、確認していこう。
「運転免許証の有効期間」については、令和2年9月30日まで(すでに運転免許証の有効期間の延長措置の手続を行って、延長後の有効期間が令和2年9月30日までになっている状態)では、運転免許証の有効期間を3ヵ月延長することが可能。
延長手続をした運転免許証の裏面には延長した旨や延長された期日などが記載され、その日まで車両の運転、免許更新をすることができる。
次に「運転免許が失効しそうな場合」については、事前の申出を行うことで、当初の更新期限等の後3ヵ月間、運転と更新が可能となる。
対して、「運転免許証の更新期限が過ぎてしまった場合」については、免許の失効から一定期間内、今回の新型コロナウィルスによる非常事態宣言による延長措置が終了した日(地域によって確認が必要)から1ヵ月以内に申請すれば、学科・技能試験を受けることなく免許の取得が可能とされている(失効後3年以内に限る)。
有効期限延長申請の手数料は無料とされ、必要書類(本人による申請の場合)は以下のものが必要。
■本人による申請の場合の必要書類
1/運転免許証
2/更新連絡はがき(不保持でも手続可能)
3/更新手続開始申請書(ダウンロードかつ窓口で入手可能)
■代理人による申請の場合の必要書類
1/運転免許証(申請者本人のもの)
2/更新連絡はがき(お持ちでない方も手続できる)
3/代理人の身分証明書(運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード、旅券(パスポートなど)
4/更新手続開始申請書・委任状(委任者が太枠内を記入)
なお、代理人による申請の場合は、上記の処理に加え、代理人の身分証明書(運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード、旅券(パスポートなど)が必要になる。
延長措置後の更新手続場所は、延長手続きの受付時に指定するが、優良運転者講習、一般運転者講習、初回更新者、違反運転者講習、高齢者講習、更新期間(誕生日の前後1ヵ月の間)以外などの場合で変わるので確認しておきたい。
■新型コロナウイルス感染症を理由とする免許手続(延長・失効)
●受付日時・場所(東京都)
■運転免許試験場
平日の午前8時30分から午後5時15分まで日曜の午前8時30分から午後5時15分まで。
※土曜、祝休日は受付していない。
■運転免許更新センター・都内の全警察署
平日のみ午前8時30分から午後5時15分まで。
※土曜、日曜、祝休日は受付していない。
■手数料/無料。
■延長措置後の更新場所(東京都)
延長措置後の更新手続は、送付時に指定した下記のいずれか1ヵ所の更新手続場所で行なうので、必ず申請書に記載をする必要がある。
●指定できる場所(東京都)
■優良運転者講習の方
試験場(府中、鮫洲、江東)、神田免許センター、指定警察署(田園調布、世田谷、成城、板橋、石神井、下谷、竹の塚、本所、立川、青梅、高尾、町田警察署)。
■一般運転者講習の方
試験場、神田免許センター。
■初回更新者、違反運転者講習の方
試験場のみ。
■高齢者講習該当の方
試験場、神田免許センター、指定警察署。
■更新連絡はがきがない方、更新期間(誕生日の前後1ヵ月の間)以外の方
試験場のみ。
※講習区分は、更新連絡はがきに記載。高齢者講習該当の方は、更新連絡はがきがなくても、更新期間(誕生日の前1ヵ月の間)以外でも試験場、神田免許センター、指定警察署の中から指定することができる。更新場所指定後の変更はできない。
■手数料
・優良運転者講習 3000円
・一般運転者講習 3300円
・違反運転者講習 3850円
・初回更新者講習 3850円
・高齢者講習等を受講済みの方 2500円
■更新手続きに行く際の留意事項(警視庁、抜粋)
・有効期限が令和2年(平成32年)9月30日までの方は、有効期間の3ヵ月延長手続を行うことができますので、更新期間が切迫した方、混雑を避けたい方はご検討ください。施設の3密を避けるため、各種講習については、通常の2分の1の定員で実施します。
・混雑時には、受講まで長時間お待ちいただくことがあります。また、さらに混雑した場合には入場制限、受付停止などを行う場合がある。
熱がある方や体調が悪い方については、来場をお控えください。
・来場の際は、マスクの着用をお願いします。
・手続する本人以外の同伴者の来場はお控えください。
・来場の際は、電車、バス等の公共交通機関をご利用ください。
・駐車場を完備する府中試験場や鮫洲試験場では、多数の来場者により駐車できない場合がありますので、自動車での来場はお控えください。また、江東試験場は敷地も狭く、自転車、バイクの駐車スペースも限られていますので、自転車、バイクでの来場もお控えください。
・当分の間、持参写真による更新手続はご遠慮ください。
・運転免許更新センターにおける経由更新手続は、引き続き中止します。
・認知機能検査及び高齢者講習を受検(受講)する方は、事前予約が必要です。
・水筒、ペットボトルをお持ちいただくなど、熱中症予防をお願いします。
郵送による運転免許有効期限の延長手続きも行える
また郵送による運転免許証の有効期限の延長手続きを行えるようになっている。延長手続きを行う前に下記に当てはまることをご確認してほしい。
・運転免許証に記載された住所が東京都内であること。
・運転免許証が失効していないこと。
・既に更新手続中でないこと。
・記載事項の変更(免許の住所、氏名の変更など)が必要な方は、郵送による延長手続はできません(窓口での手続になります)。
・運転免許証の有効期間が令和2年9月30日までの方、またはすでに運転免許証の有効期間の延長措置の手続を行い、延長後の有効期間が令和2年9月30日までの方であり、かつ、有効期間内に下記送付先に到達するよう送付できること。
郵送する書類は、運転免許証の表面および裏面の写し、更新手続き開始申請書、郵送依頼書、更新連絡はがきの写し、切手を貼付した返信用封筒など細部にわたって決められているので詳細は警視庁のホームページを参照のこと。
郵送による運転免許証の延長手続き方法(警視庁のホームページ)
全国の警察署ではどうなっている?
緊急事態宣言が5月25日に解除されたが、東京と同じタイミングで解除された北海道、神奈川県、埼玉県、千葉県はどうなっているだろうか? 各警察のホームページで発表されているので、確認していただきたい。
●北海道警察 令和2年6月1日から再開(ホームページ)
●埼玉県警察 令和2年6月1日から再開(ホームページ)
●神奈川県警察 令和2年5月27日から再開(ホームページ)
●千葉県警察 令和2年6月1日から再開(ホームページ)
各道県も東京都と同じく段階的に再開されている。有効期限が迫っている人は、手続きを行ってもらいたい。
ただし、神奈川県警察に関しては、「横浜市内在住」か「横浜市外在住」かで、午前午後を分けているためチェックしてもらいたい。
【通常業務を再開した地域】※6月15日現在
北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、茨城県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、静岡県、長野県、三重県、岐阜県、滋賀県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、長崎県、大分県、佐賀県、熊本県、鹿児島県、沖縄県
【日時や年齢などの制限がある地域】※6月15日現在
・埼玉県(鴻巣署を除き再開)
・千葉県(6月15日から運転免許センター再開、7月1日から警察署再開)
・東京都(段階的に再開)
・神奈川県(日時制限)
・愛知県(運転免許試験場及び東三河運転免許センターのみ、25警察署及び5幹部交番は6月15日から更新対象者を制限して再開)
・兵庫県(免許証有効期間が1ヵ月未満の方優先、日曜日は高齢者講習受講済みの方のみ、整理券配布による人数制限ほか)
・奈良県(免許証の有効期限が1ヵ月未満の方優先)
・大阪府(予約制。6月1日より、更新手続きに係る電話予約を受け付け。 6月8日より、4月生まれの方も6月中の更新手続きの電話予約が可能。6月30日までの予約が可能(土曜日・日曜日は更新・予約手続きを実施していない。7月1日(水曜日)以降の予約方法は決定次第、情報を更新)
・香川県(一部入場制限あり)
・愛媛県(平日のみ再開)
・高知県(日曜日のみ予約制)
・福岡県(平日のみ再開、八女警察署黒木交番は火曜日と木曜日のみ)
・宮崎県(宮崎北、宮崎南、都城、延岡の4警察署は除き再開)
※なお、新型コロナウイルス感染予防に対する情勢によって、業務の対応状況は変化する可能性がある。最新の情報は各都道府県警察のWEBサイトをご覧ください