コロナ禍で都市住民 4割「農業がより大切」 料理回数増え食意識も変化 本紙調査
2020年06月18日
首都圏の210人に街頭調査をした結果
日本農業新聞は、新型コロナウイルスの影響による都市住民の食生活や農業への意識変化を調べるため、首都圏の210人に街頭調査をした。国内農業への意識は「コロナ禍以前より大切に思うようになった」との回答は39・5%。年代別では50代が64%、60代が58%と高齢層が高かった。62%が家で料理する回数が増えた。新型コロナ禍が農業や食料について考える契機になり、食生活に変化が表れていることも分かった。(尾原浩子、松村直明)
調査は5月中旬~6月上旬に、感染予防対策を徹底した上で、首都圏の主要駅(渋谷、新宿、池袋、秋葉原など)で聞き取り取材した。「国内農業への意識変化」「家で調理する回数変化」「食生活の変化」などについて質問。10~60代以上の男女210人から回答を得た。回答者の1人暮らしと家族らとの同居割合はほぼ半分ずつだった。
国内農業への意識変化について、年代別で「以前より大切」と答えた人は高齢層で過半数以上を占めた一方、40代が45%、10~30代の若者は30%前後だった。また、1人暮らしでは33%だったが、家族らと同居している人では46%に高まった。
家で料理する回数の変化を尋ねたところ、62%が「増えた」と答え、特に家族と同居する世帯は69%と高かった。年代別では、40代が最も高く76%だった。
食生活の変化を聞いたところ、「野菜を多くとるなど栄養バランスに気を付けるようになった」が34%と最も多く、次いで「変わらない」(27%)、「自粛生活で料理やテークアウトを楽しんでいる」(24%)、「食費を減らすため、あまり食べないもしくは安価な食材を選んでいる」(19%)だった。年代別では、40代は「食費を減らすため、あまり食べないもしくは安価な食材を選んでいる」が最も多く31%で、節約志向が強まっていることも分かった。
自由記述ではコロナ禍を契機に、食料自給率や輸出依存のリスクへの関心が高まったと回答した人が複数いた。
一方、農業への関心以上に「野菜は野菜ジュースを飲むだけ。朝食は抜き、昼食はおなかが膨れる炭酸飲料。夜はコンビニでメロンパン一つ」(50代、1人暮らし)と、失業などで厳しい食生活になったとの回答が続出した。
収入や家計の変化は「大きく減った」「減った」と回答した人が46%と過半数に近く、年代別では特に子育て世代の30、40代で59%となり、その傾向が顕著だった。食費は「削っている」が22%で、このうち1人暮らしに限ると27%まで上昇した。
調査は5月中旬~6月上旬に、感染予防対策を徹底した上で、首都圏の主要駅(渋谷、新宿、池袋、秋葉原など)で聞き取り取材した。「国内農業への意識変化」「家で調理する回数変化」「食生活の変化」などについて質問。10~60代以上の男女210人から回答を得た。回答者の1人暮らしと家族らとの同居割合はほぼ半分ずつだった。
国内農業への意識変化について、年代別で「以前より大切」と答えた人は高齢層で過半数以上を占めた一方、40代が45%、10~30代の若者は30%前後だった。また、1人暮らしでは33%だったが、家族らと同居している人では46%に高まった。
家で料理する回数の変化を尋ねたところ、62%が「増えた」と答え、特に家族と同居する世帯は69%と高かった。年代別では、40代が最も高く76%だった。
食生活の変化を聞いたところ、「野菜を多くとるなど栄養バランスに気を付けるようになった」が34%と最も多く、次いで「変わらない」(27%)、「自粛生活で料理やテークアウトを楽しんでいる」(24%)、「食費を減らすため、あまり食べないもしくは安価な食材を選んでいる」(19%)だった。年代別では、40代は「食費を減らすため、あまり食べないもしくは安価な食材を選んでいる」が最も多く31%で、節約志向が強まっていることも分かった。
自由記述ではコロナ禍を契機に、食料自給率や輸出依存のリスクへの関心が高まったと回答した人が複数いた。
一方、農業への関心以上に「野菜は野菜ジュースを飲むだけ。朝食は抜き、昼食はおなかが膨れる炭酸飲料。夜はコンビニでメロンパン一つ」(50代、1人暮らし)と、失業などで厳しい食生活になったとの回答が続出した。
収入や家計の変化は「大きく減った」「減った」と回答した人が46%と過半数に近く、年代別では特に子育て世代の30、40代で59%となり、その傾向が顕著だった。食費は「削っている」が22%で、このうち1人暮らしに限ると27%まで上昇した。
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2020年06月13日
牛マルキン 兵庫県も資金不足
肉用牛肥育経営安定交付金制度(牛マルキン)を巡り、和牛産地の兵庫県で4月分の交付から、財源の一部となる生産者積立金が不足することがわかった。新型コロナ禍で肥育経営が全国的に悪化する中、東京、山口、沖縄の3都県では既に3月分の交付で不足しており、さらに他県に広がる恐れがある。
牛マルキンは、肉用牛肥育経営の標準的販売価格(粗収益)が生産費を下回った場合、差額の9割を補填(ほてん)する制度。国の交付金と生産者積立金から3対1の割合で支払われる。
農水省は4月から、生産者の資金繰り支援として積立金の納付を免除する措置を導入。交付額も国費分のみとなる。一方、3月以前に積立金を納付した牛は、4月以降の出荷でも原則満額交付される。ただ、生産者積立金が枯渇した場合、積立金を納付していても国費分のみの交付となる。
牛マルキンの4月分の結果を見ると、肉専用種は3月に続き全都道府県で発動した。交付額が最高となった兵庫では、生産者積立金が不足した結果、対象となる約1100頭への交付は国費分のみとなる。県畜産協会によると、対象のほとんどは3月までに積立金を納めている。
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2020年06月18日
「君主は恐れられる存在でなければならない」
「君主は恐れられる存在でなければならない」。マキャベリの『君主論』にある▼統治者なら一度は読むと言われるこの本を、トランプ米大統領も手にしたか。米中西部ミネソタ州で、白人の警察官が黒人男性を死亡させた事件への抗議デモや暴動に強気の姿勢が際立つ。軍隊派遣で脅し、力で鎮圧する姿勢をあらわにした。さすがに軍隊は引っ込めたが、融和を重んじた歴代大統領とちょっと違う▼11月の大統領選に向け、白人保守層の支持固めを狙ったとの見方もあるが、抗議行動は国境をも越えた。新型コロナによる死亡率も失業率も黒人が高いという。もともとの人種差別と、新型コロナ禍で表面化した人種間の「命の格差」が、怒りに火を付けた▼「法と秩序」をかざし強い大統領を演じても、内心穏やかではないはず。支持率は、民主党候補のバイデン前副大統領に、後れを取っている。前回は、選挙戦前の劣勢を巻き返して勝利したが、今回もうまくいくとは限らない。きょうは74歳の誕生日。「ハッピー」とは、単純には喜べない心境に違いない▼マキャベリは「恨みを買うのだけは、努めて避けるようにすべきだ」とも言っている。恨みは失脚につながるからだろう。融和を“封印”したかのようなトランプ大統領、さて、どうする。
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2020年06月14日
農業ビッグデータ 構築へ体制づくり急げ
全日本畜産経営者協会が、スマート畜産の普及に関する報告書をまとめた。この中ではビッグデータの重要さにも触れている。多くの農場からデータを集めて活用すれば、生産管理を効率化できるだけでなく、新事業に発展する可能性もある。ただ、膨大なデータを束ねるには強力な推進力が必要だ。早急な体制づくりが求められる。
「スマート畜産」「スマート農業」と呼ばれる畜産・農業でのロボットや情報通信技術(ICT)は、急速に普及している。省力化、軽労化、精密化、“見える化”が実現する。同協会の調査では、中小家畜の一部農場で「不満」という回答はあったが、大家畜では80%が「満足」「ほぼ満足」と回答。導入効果を高く評価している。
経営者が満足した時点で一つの到達点に達してはいるが、スマート技術にはさらに経営改善を深化できる道がある。ビッグデータの構築とその活用だ。
ICT機器からはさまざまなデータが得られる。施設園芸などでも言えるが、個々の経営で環境条件と作物・家畜の発育量、経営との関連などのデータを集める仕組みはできつつある。これを大量に束ねビッグデータにできれば、比較・解析を通じ、経営改善や環境制御の精度を上げられる。経営指導や新たな販売戦略にも生かせる。ただ同協会の報告書では、ビッグデータの構築に「行政の強力な指導が必要」としている。
デンマークではほぼ100%の酪農家が利用するビッグデータがある。酪農家の他、政府や乳業会社、牛群検定機関、獣医師、人工授精師、削蹄(さくてい)師、食肉加工処理場などからの関連情報を網羅する。酪農家はデータから農場の状況を把握でき、他農場との比較や改善点のヒントも得られる。
同様のビッグデータはスウェーデンやアイルランド、ドイツなどでも構築されている。
日本では各農場やICTの提供者がデータを管理し、散在している。これをまとめるには、情報収集に関する技術開発、データの所有権や閲覧許認可に関する対応、入力情報の統一などが必要になる。農家が利用に積極的になることも重要だ。
政府のIT総合戦略本部では農業情報のビッグデータを視野に入れた検討も進む。しかし現時点で国全体に共通の仕組みをつくり、一気にビッグデータを構築するのは難しい。まずは地区やJA単位などで畜種や作物ごとに統一したシステムの導入を考え、地域的なデータ管理の体制をつくるのも一つの手だ。ただ、システムの選定やデータ管理のコストなどに対処するには、強力な指導力と、技術に詳しい人材が必要になる。
スマート農業はまだ、全国に点の状態で存在する。多種多様なシステムがモザイク状に広がり定着してしまうと、関係者の意識をまとめにくい。面的なビッグデータを早めに構築すべきである。
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2020年06月16日
転作補助申請8月まで 米需給安定 検討時間を確保
農水省は12日、主食用米を飼料用米などに転換した農家が転作補助を受けるための申請期限を2カ月延長し、8月末とすることを決めた。2020年産米の需給緩和の恐れがある中、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、用途変更の検討・調整に時間がかかると見込んだ。収穫が本格化する直前まで用途変更を促し、主食用の需給安定につなげる。
期限延長するのは、水田活用の直接支払交付金を受けるのに必要な飼料用米や米粉用米など新規需要米の計画書と、加工用米の計画認定申請書。6月末が期限だったが、8月末まで追加や変更を受け付ける。JA単位で飼料用米などの面積の見込みを記した計画書を8月末までに提出すれば、農家単位の面積は10月19日までに決められるよう猶予を設ける。話し合いの時間確保で、主食用として作付けした米の用途変更を促す。
今年は新型コロナ感染予防の移動自粛で、同省が例年展開していた幹部職員による産地キャラバンや農家らによる集落座談会などが停滞。転作気運は高まっておらず、こうした状況を踏まえ、申請期限の延長を決めた。
同省は「話し合いのための時間を最大限確保した」(穀物課)と説明。今後キャラバンを本格化する考えで、JAグループなどと連携して産地に需要に応じた生産を働き掛ける。
同省によると、全国を対象に期限延長するのは3回目。前年に米価が暴落した15年産は7月末に後ろ倒しした。19年産も7月末に延長後、さらに1カ月、再延長した。
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2020年06月13日
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自由記述ではコロナ禍を契機に、食料自給率や輸出依存のリスクへの関心が高まったと回答した人が複数いた。
一方、農業への関心以上に「野菜は野菜ジュースを飲むだけ。朝食は抜き、昼食はおなかが膨れる炭酸飲料。夜はコンビニでメロンパン一つ」(50代、1人暮らし)と、失業などで厳しい食生活になったとの回答が続出した。
収入や家計の変化は「大きく減った」「減った」と回答した人が46%と過半数に近く、年代別では特に子育て世代の30、40代で59%となり、その傾向が顕著だった。食費は「削っている」が22%で、このうち1人暮らしに限ると27%まで上昇した。
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2020年06月18日
[新型コロナ 備えて前へ] 選果最盛 安心へ最善
梅「白加賀」の選果作業が最盛期を迎えている、群馬県・JA碓氷安中の梅選果場(安中市)では、パート職員の間をビニールシートで区切り、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策を進めている。作業台の幅が限られ、隣同士の間隔を広く取ることが難しいためだ。区切りにはマルチフィルムを使う。
併せて選果場では、職員に手指の消毒やマスクとフェースガードの着用も呼び掛けている。JA営農課の佐藤巧一さん(23)は「念には念を入れて対策し、安全な農作物を消費者に届けたい」と強調する。
JAは19日までに約50トンの出荷を計画する。7月からはナスの出荷も始まる。佐藤さんは「気温が高まるので、作業の快適性も重視しつつ対策を考えていきたい」と思案を巡らす。(富永健太郎)
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2020年06月18日
生活困窮者支援 米25トンを供給へ 生活クラブ連合会コロナ禍で 全農パールライスと連携
生活クラブ連合会は16日、全農パールライスなど産地関係の団体と協力し米25トンを生活困窮者に届けると発表した。生活クラブの物流網を活用し、会員生協と交流のある福祉施設や子ども食堂などに寄付する。新型コロナウイルスの経済への影響を踏まえた緊急支援。この他に、継続的な支援ができる仕組みづくりも検討している。
各地の会員が、日頃連携する福祉団体とそれぞれ情報交換したところ「今必要なものは主食の米だ」との声が複数出たことがきっかけ。全農パールライスをはじめ、共同購入する米の供給に関わる産地側の団体が協賛し実現した。費用は連合会と各団体がそれぞれ拠出し、6~7月にかけて届ける予定。
一方、継続的な支援に向け、生協組合員のカンパで基金を立ち上げることも検討している。生産者団体には、生活クラブが運営するフードバンクへの協力を呼び掛けたい考えだ。
生活クラブ連合会の担当者は、国産食材の利用を重視してきた立場から「今回の支援を通じ、国内で食料が生産される重要性を改めて伝えたい」と話す。
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2020年06月17日
情報紙で園芸強化 3品目、月1回発行 良品出荷へ技術共有 広島・JA庄原
JA庄原は、園芸重点推進品目のアスパラガス、ホウレンソウ、トマトで生産者向け技術情報紙の発行を強化する。県北部農業技術指導所と連携し、内容を充実。新型コロナウイルス感染防止で、人を集めた研修会などが中止・延期となり、訪問などの営農指導に制約がかかる中、紙面を使った情報提供で生産を支える。
昨年までアスパラガスとホウレンソウは2、3カ月1回の発行だった。コロナ禍で、情報が十分に行き届かない生産者の不安に応え、重点推進6品目のうち、管内全域で生産する3品目で、月1回の発行を計画する。
紙面はA3判で2枚。かん水や防除、追肥、雑草対策など約1カ月分の情報をイラスト、写真付きで説明する。気温や降水量、日照時間の推移と気象予報なども掲載。JA園芸課の水田善一係長は「密集、密接につながる全体研修は難しい。紙面を通じた情報の共有で良品出荷につなげたい」と意気込む。
技術情報紙は、巡回で生産者の状況を把握しながら、内容の充実も続ける。営農センターを通じて配布する他、集出荷場への掲示も予定する。
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2020年06月17日
[新型コロナ] 観光業とマッチング奏功 JA、自治体 懸命に援農 人手不足 当座しのぐ 実習生来ぬ野菜産地
新型コロナウイルスの影響で外国人技能実習生が来日できず、深刻な人手不足に悩んでいた野菜産地が人材確保の取り組みを進めている。観光業などとのマッチングが奏功し、野菜産地の長野県や群馬県によると「おおむね人材は確保できた」とする。短期的にめどは付いたものの、中長期的には人手不足を懸念する産地が多く、抜本的な解決には至っていない。
農水省によると、5月20日時点で、農業分野で来日できない外国人技能実習生は、各都道府県が把握できる範囲で2500人。主に1年未満の実習生を受け入れてきた農家や監理団体、JAなどが、人手不足の懸念から人材確保を急ピッチで進めていた。
監理団体などへの聞き取りで、800人の技能実習生が入国の見通しが立っていなかった長野県は、コロナ禍で仕事が減った他産業の日本人労働者らのマッチングが進み、「現時点ではおおむね充足されている」と説明する。
中国などからの技能実習生の入国が難航し、春の農作業に間に合わない心配があったが、ハローワークとの連携や地域ぐるみの口コミなど多方面で調整が進んだ。レタス産地の川上村や、キャベツ産地の群馬県嬬恋村も出荷量を落とさずに、創意工夫などで産地を守っている。
北海道では、JA北海道中央会が3月末時点でまとめた調査によると、道内でJAが監理団体または実習実施者として受け入れている外国人技能実習生約180人の出入国に影響が出ていた。
来日できない実習生の6割が上川地区で、農産物の定植やアスパラガスの収穫作業などに影響が及ぶとみられていた。同地区のJA道北なよろ管内では27戸で実習生51人が来日できなかったが、JA職員や道、市職員らの懸命な援農などで補い、「深刻な人手不足は何とか免れている」(同JA)という。
不安なお
農水省は、人材雇用などの費用の一部を補助する支援策を用意している。法務省は、受け入れ先で実習継続が困難になった外国人技能実習生を国内で雇用継続できる特例措置を設ける。こうした措置で、地域ぐるみでのマッチングや人手不足の解消対策が現場で広がった。
ただ各産地からは「今年は確保できたが、来年度以降に懸念がある」「今働いている人がいつまでいてくれるかが不透明」と中長期的な人員確保を不安視する声もある。
法務省は出国が困難になった実習生の在留期間を延ばすことも認めた。技能実習生を多く受け入れる茨城県や宮崎県などは「2年以上の実習生が大半で、今いる実習生が活動し続けることができ、影響は限定的だった」と説明する。
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2020年06月16日
[新型コロナ] 加工野菜 国産化を 実需まで横断的支援 JAグループ 青果「考え方」
JA全中は2021年度の野菜・果樹対策について、JAグループの基本的考え方をまとめた。新型コロナウイルスの影響で、加工・業務用野菜の多くを輸入に頼っている課題が浮き彫りになったと指摘。国産への切り替え加速を提起した。産地の他、食品メーカーや飲食店なども横断的に支援する枠組みを要望する。果樹では省力樹形の普及に支援を求める。
加工・業務用野菜の国産化に対しては国の20年度補正予算で、産地の加工施設などの整備や改修に支援策が設けられた。JAグループはこれに加え、新品目の試験栽培など原料の生産面やメーカー側の設備投資にも支援を広げることを提案。産地から実需・消費者までを一体で後押しすることで国産回帰を加速させるべきだとする。
果樹は、省力樹形の全国的な展開を掲げる。生産者に技術を見てもらうモデル園地を、JAなどが整備する際の支援拡充が柱。未収益期間中の管理作業や技術者の育成を対象に加えるよう求める。省力樹形向けの苗木は生産に手間がかかるため、増産を後押しする施策が必要だとする。
野菜・果樹産地の労働力不足対策と位置付けるスマート農業では、生産者が個別に投資する負担を避けるため、農作業を請け負うJAや子会社などに注目。ドローン(小型無人飛行機)での防除など、スマート農業を取り入れた作業受託に対し、機械の取得費用などを支援するよう提案する。
この他、野菜価格安定制度と収入保険に同時に加入できるようにすることや、産地生産基盤パワーアップ事業の予算確保などを求める。
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2020年06月16日
[新型コロナ 備えて前へ] きらり新天地 農家も「ほっ」
愛知県は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で出荷できなくなった県産花きを公共施設などで展示する取り組みを始めた。名古屋市の東山動植物園は、カシワバアジサイやマリーゴールド、観葉植物などで植物園の入り口を飾り付けた。来園者に地域ならではの多彩な花きをアピールするとともに、家庭消費の拡大を目指す。
イベントや冠婚葬祭の自粛などによる需要減の影響を受けた花き農家を支援するのが狙い。提供した農家には県が1経営体当たり支援金20万円を交付する。JAグループが集荷で協力する。
6月上旬、JA愛知みなみとJA豊橋管内の生産者から花きが届き、同園職員が花壇などに植え付けた。園長の谷口茂弘さん(60)は「立派なものばかりで見応え十分。訪れた人に楽しんでもらうだけでなく、購入のきっかけにしてほしい」と話す。
同市のJAあいちビルなどにも展示している他、20、21日には熱田神宮にも飾る予定。(富永健太郎)
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2020年06月16日
[新型コロナ] 人手不足の野菜産地 観光業と連携 長野・JA佐久浅間へ星野リゾート従業員
今春、新型コロナウイルスの影響で多くの外国人技能実習生が来日できず各地で人手不足になっている。長野県のJA佐久浅間ではリゾートホテルなどを展開する星野リゾートの人材受け入れを始めた。仕事量が減少している観光業の同社と、人手不足のJAの選果場や産地が、課題を乗り越えようと連携を進める。
軽井沢町で「星のや軽井沢」など3カ所の宿泊施設やレストランなどを運営している同社の軽井沢星野事業所がJAに提案した。4月の緊急事態宣言以降、観光需要が減少。事業所でも4、5月の売り上げが例年の4分の1ほどに落ち込むなどの影響が出た。従業員の業務量が減少し、仕事の確保が課題となった。
JAも人手不足が課題だった。JAは県内1位の生産量を誇るブロッコリーの産地。消費が伸びていることもあり、2020年度は、19年度実績の101万ケース(1ケース4キロ換算)を上回る106万ケースの出荷を目指している。だが、出荷ピークの6月下旬から7月中旬になると、共選所の人員が足りなくなった。
取り組みでは同社の希望社員約30人が副業の形式で、JAの共選所2カ所で働く。
産地強化のため、今年から新たに稼働を始めた御代田町の共選所では、同社の従業員18人がローテーションを組み、1日当たり5人ほどが出勤する。同社調理スタッフの小林正浩さん(45)は「ブロッコリーの大きさだけでなく色みなども考慮して選果することが分かり勉強になる」とした上で、「食材の物語や安全・安心を消費者に伝えることができるのでレストランで提供する商品力が上がる」と実感する。
JAあさま東部営農センター小沼事務所の横田信夫所長は「新たな共選所ということもあり、初動の人集めが軌道に乗れるかが大きなポイントだった。普段から接客をしているので、協調性もあり意欲的に働いてくれて大助かりだ」と評価する。
この他にも管内の4戸の農家で、12人がブロッコリーの収穫作業をする予定だ。同社では従業員が選果、収穫したブロッコリーをJAから6月中をめどに仕入れ、レストランで出す夏場のメニューに使う予定。また収穫した野菜を店舗で販売することも検討中だ。
JA野菜課の清水浩文課長は「労働力不足の課題を乗り越えるだけでなく、農と観光の連携で農産物の消費につなげたい」と期待する。
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2020年06月16日
[新型コロナ] 日本酒低迷、米産地を直撃 契約3割見直しか 需要回復いつ… 兵庫
新型コロナウイルスの影響で日本酒の消費が落ち込む中、原料の酒造好適米の産地に影響が表れている。酒造好適米の生産量日本一の兵庫県では需要が3割落ち込むとの想定もあり、契約予定数量の見直しを迫られている。来年産以降の生産計画に影響する可能性があり、生産者に不安が広がる。(北坂公紀)
来年産計画に影響も
酒造好適米「山田錦」の作付面積が、地域の水田面積の8割を占める兵庫県三木市吉川町。県内の主力品種「コシヒカリ」から遅れること約1カ月後の5月30日、「山田錦」の田植えが本格的に始まった。生産者の表情は険しく「収穫する頃、世間はどうなっているのか」。苗を見つめながら同町冨岡地区で水稲15ヘクタールを手掛ける冨岡営農組合の西原雅晴組合長は出来秋を不安視する。
産地関係者の「悩みの種」は、新型コロナ禍に伴う日本酒の消費減だ。日本酒造組合中央会によると、出荷量は2月が前年同月比9%減、3月が同12%減、4月が同21%減と月を追うごとに落ち込む。5月は集計中だが、4月と同水準とみられる。同中央会は「流通在庫が積み上がっているところもあり、事態は数字以上に深刻」と分析する。
産地にも影響が出始めている。JA全農兵庫では4月中旬以降、今秋収穫される2020年産の契約数量の見直しを求める問い合わせが、取引先から相次いだ。「当初の契約予定数量(約1万5000トン)の3割の見直しを迫られるとの想定もあり、現在協議を進めている」(全農兵庫の土田恭弘米麦部長)。
深刻な事態を受け、全農兵庫は4月下旬、県内のJAみのり、JA兵庫みらい、JA兵庫六甲と共同で、県内生産者に緊急通知を発出。酒造好適米から主食用品種などへの転換を呼び掛けた。
ただ、多くの農家が苗作りを始め「変更できない農家が大半。問題が表面化した時点で手遅れだった」(JA関係者)。当初の生産計画から減産できたのは「数%」(同)だった。
冨岡営農組合は緊急通知を受け、酒造好適米の作付面積を1割減らし、主食用品種に切り替えた。「山田錦」に比べ10アール当たり収入は半減する見込みだが、西原組合長は「産地と酒造メーカーは一蓮托生(いちれんたくしょう)。酒造メーカーが苦しむ中、産地も減産に協力したい」と覚悟を決める。
兵庫県も独自支援に動く。20年度6月補正予算案に酒造好適米の産地支援を盛り込んだ。余剰在庫の解消に向け、米粉など日本酒以外の用途向けに19年産の酒造好適米を販売する際、販売価格の下落補填(ほてん)に60キロ1万800円を支給。20年産の作付け転換や消費喚起にも取り組む。
ただ、影響の長期化は避けられない見通しだ。「自粛ムードが続き、日本酒の需要はすぐに回復しない」(同中央会)とみられるためだ。土田部長は「来年産以降の生産計画の見直しも避けられない」と肩を落とす。西原組合長は「日本酒を飲んで、産地を応援してほしい」と呼び掛ける。
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2020年06月14日
[新型コロナ] 消費低迷の救世主― CF(クラウドファンディング)脚光 飛騨牛、石垣牛…続々ヒット 応援消費がっちり
新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた産地が、インターネットで資金を集めるクラウドファンディング(CF)で資金調達に成功している。1億円以上を集めた岐阜県のJAひだの「飛騨牛」に続き、JAおきなわも「石垣牛」の企画で目標額をわずか5日間で集めた。いずれも金額に応じて牛肉を送る仕組み。応援消費を取り込み、生産支援につなげる手法として注目を集めている。……
2020年06月14日