[17日 ロイター] - 米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は17日、新型コロナウイルス感染拡大で米国ではマイノリティー(少数派)が他よりも大きな影響を受けているとし、人種差別がもたらす道徳的、経済的なコストが全国的に発生している事態で明るみになったとの考えを示した。
ボスティック総裁はアトランタ・コンスラーが主催したオンラインイベントで、「新型ウイルス感染拡大で低所得層とマイノリティーが他よりも大きな影響を受けており、米国にこれまでも存在していた構造的格差が拡大した」と述べた。
ボスティック氏は連邦準備理事会(FRB)当局者の中で唯一のアフリカ系米国人。先週、人種差別の解消を呼び掛けると同時に、FRBが解消に向け実施できることの提案を行った。
この日もこうした考えを踏襲し、全ての国民が完全に参加すれば米経済の成長ペースは加速すると指摘。「人種差別は道徳上のコストだけではなく、経済的なコストももたらすと認識する必要がある」とし、「われわれは対応し続ける。FRBも一つの機関としてうまく対応できる位置に付けている」と述べた。
また、感染拡大抑制策が緩和され、人々が職場に復帰するにつれ経済は回復しつつあるとの認識を示しながらも、回復のペースは消費者が外出に当たりどの程度慎重になるかにかかっていると指摘。在宅勤務などが可能な人々は恵まれた状態にあるが、顧客に直接接する機会が多い外食産業やホテル産業などはなお苦境にさらされているとし、「経済がどの程度速く回復するかは、リスクを取る意欲、およびリスクの認識の仕方が重要な要素になる」と述べた。