特集「3分でわかる紫外線蛍光灯とキセノンランプのお話」
紫外線蛍光灯とキセノンランプ
製品に使われているプラスチックなどの材料は、太陽光、雨、温度変化に長時間さらされると、変色したり、ボロボロになったり、弾力性がなくなったりし当初の機能が失われます。促進耐候性試験機はそのような自然環境を人工光源などを使って人工的に再現し材料の変化を事前に確認する装置です。
そして紫外線蛍光灯やキセノンランプは、促進耐候性試験機に使われる太陽光の代わりとなる人工光源の種類になります。
家庭用照明にLED、蛍光灯、白熱電球などの種類があるように促進耐候性試験機の光源にも種類があります。
太陽光の代わりとなる人工光源
耐候性試験機の多くは、光、温度、湿度の3大劣化要因を人工的に再現しますが、ここでは特に光を再現する人工光源にスポットをあてます。
人工光源の代表的なものとしては、
- カーボンアーク
- キセノンランプ
- 紫外線蛍光灯
- メタルハライドランプ
などがありますが、今回はその中から紫外線蛍光灯とキセノンランプに焦点を当て、人工光源の個々の特徴について見ていきます。
太陽光と人工光源(キセノンランプ、紫外線蛍光灯)の分光分布の比較
紫外線蛍光灯
紫外線蛍光灯は太陽光の紫外線領域を再現する事ができ、屋外で使用されるプラスチックやコーティングなどのポリマーの劣化の検証などによく利用されます。
紫外線は屋外にさらされる耐久性材料に対して最も風化ダメージを引起す波長領域と言われおり、ポリマーに対しては、光沢の減少、強度低下、黄変、亀裂、ひび割れ、脆化(ぜいか)などのダメージを引き起こします。
紫外線は特にプラスチックやコーティングなどの
ポリマー素材に悪影響を与えます。
紫外線蛍光灯の分光分布
紫外線蛍光灯は、太陽光の300~400nmの紫外線領域を忠実に再現し、太陽光全体を再現するわけではありません。
太陽光と紫外線蛍光灯の分光分布
太陽光と紫外線蛍光灯の分光分布(260~420nm)
ピークの異なる紫外線蛍光灯
紫外線蛍光灯には分光分布のピークの違いによって、340nm、351nm、313nmなどのピークの異なる蛍光灯があります。太陽光の持つ紫外線より短波長の313nmにピークがある紫外線蛍光灯はそのままの分光分布は地表では存在しませんので、地表での太陽光の再現よりも、例えば品質管理や研究開発用途、あるいは非常に耐久性の高い素材の試験などの用途に利用されます。
分光分布のピークが異なる2つの紫外線蛍光灯の例(260~420nm)
紫外線蛍光灯のメリット
紫外線蛍光灯の長所は、長時間経過後も分光分布がほとんど劣化せず変化しない点です。
この安定性により紫外線蛍光灯による試験は、再現性が高くなります。
また他の試験機に比べると比較的安価である事も長所の一つです。
キセノンランプ
キセノンランプは紫外線蛍光灯とは異なり、紫外線、可視光、赤外線エネルギー領域において、太陽光の295~800nmに渡る波長全域を再現します。
太陽光とキセノンランプの分光分布の比較
耐変色性
光による色の変化などの耐光性を試験したい場合は、太陽光の全波長域の検証ができるキセノンランプが選択肢になります。
キセノンランプでは、耐変色性などの耐光性を幅広く検証できます。
フィルターの併用
また、フィルターを変えれば、屋外の状況のみならず、様々な屋内環境などを再現する事もできます。例えば窓ガラス越しの屋内の耐候性などを検証する場合、窓ガラスフィルターとセットで使うことで、キセノンランプの分光分布を、ガラスを透過した太陽光の分光分布に調整する事ができます。
ガラスを透過した太陽光と、キセノンランプ+窓ガラスフィルターの比較
規格
また規格試験にも、キセノンランプがよく使われます。
耐候性試験の規格には、例えば
- JIS D 0205 自動車部品の耐候性試験方法
- JIS K5600-7-8 促進耐候性(紫外. 線蛍光ランプ法)
- ASTM D7869 輸送コーティング用の光と水への暴露を強化したキセノンアーク暴露試験のための標準的な方法
などがあります。
まとめ
このように促進耐候性試験機は、いろいろな種類の人工光源の特徴を理解し使い分け、様々なフィルターとの組み合わせることで、より適切な自然環境条件の耐候性をシミュレーションする事ができます。
計測展がおすすめする促進耐候性試験機
QUVは紫外線蛍光灯式の促進耐候性試験機で、太陽光、降雨、露によって引き起こされる劣化を再現し、屋外で数ヶ月あるいは数年にわたって起こる劣化を数日あるいは数週間という短期間で再現することができます。
Q-SUNキセノン試験機は、キセノンランプ式の促進耐候性試験機で、太陽光の全波長と、降雨によって生ずる劣化を再現し、屋外で数か月、数年かかる劣化を、わずか数日または数週間で再現することができます。
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