前出の政府関係者によれば、竹中氏の「利権への関与」は近年だけでも枚挙に暇がない。順を追って挙げてゆこう。
まずは、外国人労働者にかかわる事業だ。
2018年12月8日、入管法が改正され(正式には「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」)、これにより外国人労働者の受け入れが大幅に拡大されるとともに、それにかかわる業務も拡充される運びになった。
改正を主導したのは、国家戦略特区諮問会議。前述の通り、同会議の議員のひとりである竹中氏は、入管法改正を「きわめて重要」な規制緩和だとして、早期の実現を主張していた。
一方、2019年4月の改正法施行に先立つ同年2月、竹中氏が会長を務める人材派遣大手のパソナグループは、外国人労働者をサポートする「外国籍人材定着支援サービス」を開始すると発表した。これは、日本で働こうとする外国人に、在留資格や就労ビザ取得などの事務手続きに関する説明や代行取次、日本語学習、日本のビジネスマナー講習、さらには新生活開始のための諸手続きの支援などを行う事業だ。
もし入管法改正、外国人労働者受け入れの拡大がなかったら、果たしてパソナはこのタイミングで、このような事業に乗り出していただろうか。竹中氏が規制緩和を推進し、それによって生まれたビジネスチャンスに、竹中氏自身が経営に関わる企業がいち早く参入してくる――この「丸儲け」のしくみが、いまや日本の至るところに存在する。