嗅繊毛 olfactory cilia ←→繊毛
- 嗅細胞の樹状突起の先端部にある繊毛で、嗅上皮の表面に広がっている。
- モータータンパクであるダイニンを欠く不動性の繊毛
- 直径約0.2μ
- 嗅繊毛が生えている膨らんだ部分を嗅小胞 olfactory vesicleと呼ぶ。
- 嗅繊毛が匂い分子を受容する。嗅繊毛には匂い分子受容体、情報伝達分子、イオンチャンネルなどが豊富に局在していて、匂い分子の情報が効率的に電気信号へと変換されることで嗅細胞の興奮が引き起こされる。
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嗅神経 olfactory nerve
- 第I脳神経
- 嗅細胞の軸索突起
- 嗅神経は嗅細胞の軸索が集まってできた約20本の神経線維束からなる。
- 嗅神経は篩骨に開いた孔を通って頭蓋腔に入り、脳の再先端にある嗅球に達する。
- 嗅神経は僧帽細胞や房飾細胞とシナプス接続する。
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匂い分子 odor molecule
- 分子量300程度までの揮発性の低分子化合物で、自然界には数10万種類が存在するといわれている。
- 官能基、炭素数、不飽和度などによりある程度は匂いの質は決まっているが、全く異なる構造を持つにもかかわらず匂いの質が似ているものや、構造が非常に類似していても匂いの質が異なるものが存在するなど、分子の構造と匂いの質との関係は完全には解明されていない。
- 嗅上皮は嗅粘液で被われているので、わずかでも水に溶ける性質をもっている物質でないと、嗅受容膜まで到達できない。メタン、エタン、プロパンなどは、水に溶けないために匂い物質として受容されない。水に溶けにくい疎水性の高い物質ほど、低濃度で匂いとして感知でき、水に溶けやすい親水性の物質は、高濃度で匂いとして感知される。
- ほとんどの匂いは1つ以上の受容体を刺激する。つまり嗅覚受容体の反応は膨大なバリエーションが存在していることを意味する。それまで遭遇したことのない分子にも複数の受容体が反応し、そのパターンを区別することで匂いを特徴づけることが可能になる。つまりヒトは396種類の嗅覚受容体を使って可能な限り多くの違った匂いをかぎ分けている。
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嗅覚受容体、匂い分子受容体 olfactory receptor
- 嗅細胞に存在する7回膜貫通型Gタンパク質共役受容体である。匂い物質は嗅覚受容体により受容される。
- 1991年にAxelとBuckがGタンパクと共役する7回膜貫通型の「匂い受容体候補分子」の存在を発表したことを契機に、嗅覚分野の分子細胞生物学研究は著しく発展し、Gタンパクと共役する「匂い受容体」が約300個のアミノ酸からなり、マウスでは約1100種類、ヒトでは約400種類の嗅覚受容体が嗅上皮で発現しているが証明された。
- 一般に1種類の匂い物質は複数の嗅覚受容体を活性化し、1つの嗅覚受容体は複数の匂い物質によって活性化され、嗅覚受容体と匂い物質は多対多の組み合わせによって認識される。
- 哺乳類は約1000種類もの匂い分子受容体の遺伝子を染色体DNA上に備えている。
- 嗅上皮に存在する数千万個の嗅細胞のそれぞれは、その1000種類のレパートリーから、たった1種類の匂い分子受容体を選択して発現する。
- 嗅覚受容体にはゲノムレベルでの差異が数多くみられ、哺乳類のゲノムにはそれが1,000ほどもある。嗅覚受容体遺伝子はゲノム中の全遺伝子の4~5%を占めている。ヒトゲノム計画での解析によると、ヒトは396の機能する嗅覚受容体の遺伝子(機能しない偽遺伝子を含めると821)を持っている。これは396種類の匂いのみを区別できるという意味ではない。それぞれの嗅覚受容体はただ一つの匂いに反応するのではなく、多くの類似した構造に反応する。ま
- Gタンパク質結合受容体
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