日本は着実に、移民国家となりつつある

 一見すると、平和なお祭りそのもの。だが、国家を持てないクルド人の苦悩、イスラム国や政府軍などの戦闘が繰り広げられているシリア内戦、それに伴い欧州への流入が激しくなっている難民問題、日本における移民問題など、そこは国際社会や日本が直面する課題を、改めて認識させられる場にもなっていた。

 シリア内戦やクルド人難民というと遠い世界の出来事のようだが、日本にも中東から難民が逃げてきており、首都圏にこうしたコミュニティーが存在している事実は重い。日本は着実に、移民国家となりつつある。これまでワラビスタンやネウロズを知らなかった記者としては、海外で起こっている問題と意外な場所がつながっていることに、大きな刺激を受けた。

 こうした祭りへの参加をきっかけに、普通に日本で生活していると意識しにくい国際問題に興味を持つようになる人は少なくないだろう。在日クルド人のためのお祭りではあるが、島国で内向きになりがちな日本社会や日本人にとっても、意義のあるイベントだと思った。

 写真を見て興味を持った方々は、来年の春分の日、蕨市民公園でまた開かれるネウロズを見に行くことをお勧めする。