編集後記:ココロジョジョル第5部
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編集後記:ココロジョジョル第5部

2019-08-15 22:45
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ココロジョジョル第5部、多くの方にご視聴いただき感謝です。
編集プロセスの備忘録も兼ねて、他の方を見習って最近流行り(?)の動画ブロマガを書いてみたいと思います。


ただ振り返るだけなのは寂しいので、今回はココロジョジョル編集時の実際の時系列に沿って、総集編MADを編集する際の流れや各パートのポイントなどを紹介できればと思います。
※一部、Twitterで既に紹介している内容と被ります。


Parte0:前作までの改善点を考える
「ココロジョジョル」は第4部投稿時点でもう4年以上続けていたシリーズなので、前作までの良かったところ・悪かったところの反省がそっくりそのまま次作に繋げられる珍しい音MADだと思います。なので、まずは改めて前作を見て、どこを伸ばしてどこを変えるべきなのかを考えるところから始めました。

4部までの投稿から少し時間が経った当時、個人的にジョジョル4部に対して改善ポイントだと思ったのは以下の3点でした。
①アニメ放送終了→ジョジョル投稿までの期間が長すぎる
②長いセリフが多いため、キャラの移り変わりが遅い
③カット数が少ないため、動画テンポがあまり良くない

①については、音声は毎回放送と同時進行で作っているものの、細かい音声構成が最終的にどう変わるか分からないため、映像は基本的に音声が全て完成した後に作り始めていたことに起因しています。
そこで、今回は事前に全ての音声構成をほとんど決めてしまい、映像も放送と同時進行で組み上げることにしました。理想はアニメ放送終了から1日での完成・投稿です。(何とか達成できました…)
結果的に以前より動画を何度も調整する余裕ができたので、自然と③も改善できて一石二鳥でした。
②については絶対に必要なシーンだけは長いセリフを、その他は掛け合いのようにテンポよくセリフを流してメリハリを付けることを意識しました。


Parte1:全体構成を考える
当時(2017年6月頃)、第5部アニメ化はまだ決定していなかったのですが、私個人として第5部が一番好きな部だったので、ここまでMADを続けた以上は今回も「ココロジョジョル」をやりたく、アニメ化を信じて原作を読みながら事前に構成を考え始めました。

その時考えた全体構成が以下になります。
00 前奏:眠れる奴隷
01 サビ:護衛チーム紹介
02 VS暗殺チーム
03 吐き気を催す邪悪
04 サビ:ブチャラティVSボス
05 VSボス親衛隊
06 サビ:VSボス親衛隊&ディアボロ登場
07 間奏前半:キング・クリムゾンの脅威
08 間奏後半:真実に向かおうとする意志
09 サビ前:チャリオッツ・レクイエムによる入れ替わり
10 サビ:矢争奪戦
11 ラスサビ:GER覚醒
12 後奏:このジョルノ・ジョバァーナには夢がある!でEnd

細かいセリフは決まっていない部分も多かったですが、この時点で全体構成はほぼ完成版と同じものになっていますね。

少しギャグも入れ込みたかったですが、バトルが苛烈すぎて急に入れても場違いなものになって全体の雰囲気を損ないそうだったので今回は熱さ方向に力を入れています。
ギャグが見たい方はTwitterにアップした小ネタMADをどうぞ。(宣伝)



Parte2:時間の掛かるパートを先に編集する
アニメ放送終了の次の日にアップすることを目標にしていたので、放送前に編集できるパートは先に完成させてしまおうと思いました。(この時点でアニメ化すら決まっていなかったので、ハタから見たら何やってるんだという感じですが…)
その事前編集できるパートとは、特に編集に時間を要する冒頭の語り部分です。
この部分は、今までのジョジョルではなるべく途中で使用しなかった映像を使用したく、毎回最後の方に編集していたため尚更動画に時間が掛かっていたパートでした。今回は先に編集して余裕を持ちたかったわけですね。

3部以降のプチルールとしてこの部分はスタンド紹介メインという形をとっていましたが、今回はひと目で興味を持ってもらうためにある程度凝った演出がしたく、ASB・EoH・MMD・原作漫画を駆使してフラットデザイン的なスタンド紹介映像にするのはどうか?と思い編集を始めました。
具体的には完成動画の通り、ASB・EoH・MMDで影絵モーションを作り、止め絵に原作を使用して、トランジションに各キャラのスタンド能力モチーフのエフェクトを差し込んでいます。(この部分は2017年12月あたりに編集開始。)

①ブチャラティ

開幕トランジションはジッパー。AEのパス等で制作しました。
モーションは丁度EoHにあったものですが、好きな立ち絵です。

②アバッキオ

トランジションはムーディー・ブルースのタイマー。単体ではシーンチェンジしにくかったので扇回転的なエフェクトを加えています。
アバッキオのモーションはMMDをお借りして少し動かしました。

③ミスタ

トランジションはセックス・ピストルズの弾丸。MMDをお借りして動かしました。
ミスタは漫画の絵に少し描き足して表示部分を増やしています。

④フーゴ

トランジションはウイルスカプセル&ウイルス飛散のイメージ。blenderで欠けた球と流れるエフェクトをモデリングしました。

⑤ナランチャ

トランジションはエアロスミスの飛翔。影絵のエアロスミスはフィギュアを上から見た図を元に手描きで作成しました。

⑥ジョルノ

トランジションはゴールドエクスペリエンスで発生する植物。AEのパスでアニメーションを設定しました。立ち絵は漫画でも印象的な「やるしかない………」のシーン。

これにて前奏部分の映像はほぼ完成。そしてこのまま月日は流れ………


Parte3:アニメ化決定&間奏の編集開始
2018年6月、荒木飛呂彦原画展「JOJO 冒険の波紋」の発表会生放送で荒木先生から直々にアニメ化が発表されました。うっ…うれしい!(康一)
その勢いのまま、まだアニメ化前に作れるパートがあったので編集を再開しました。間奏の漫画部分です。

間奏にはジョジョ全体の中でも一番好きなサブタイトル「今にも落ちてきそうな空の下で」をチョイス。ジョジョル3部で花京院の独白を間奏に使用したときから5部なら絶対このシーンだと決めていました。

ここは使用する同僚警官のセリフも殆ど決めていたので、ジョジョル3部の演出のリボーンとして、音声では使用しないアバッキオの苦悩を描いたセリフを中心に画像・文字を設置してモーションを付ける形で進めました。

また、この頃にはParte1で考えた全体構成に沿うように細かいセリフ構成を考え、ASB・EoH・5部ゲー音源を使用して作れるところだけ試作版を作ってイメージを固めました。↓

さらに、今回は決め所のセリフを強調したく、全体的に新たにドラムを打ち込んでリズムを自由に構成しやすくしています。だいたい効果音も一緒にかぶせているので打ち消されちゃっていますが、音の下支えになっているかと思います。


Parte4:アニメ開始&音声、映像編集開始
放送時間は遅くなりましたが、前の部までと同じく放送日は金曜日だったので、
金曜夜:本編録画&編集用にエンコード、音声切り出し
土日の暇な時間:音声編集、映像編集
といった形のサイクルで編集を進めました。

音声の切り出しはREAPERで行い、上図のようにトラックを各キャラのセリフで分け、時間軸を本編時系列として管理しています。
例えばジョルノの37話終盤のセリフが使いたかったらジョルノのトラックをソロにして37話のマーカーが付いている部分の後ろの方を探せば良いわけですね。この音声管理方法はエルシャダイの頃からやっていますが、編集の際はREAPERプロジェクト間でコピー&ペーストできるので結構おすすめです。

また、ジョジョ5部はBGMやSEが大きいため、今回はサントラを使用して歌声りっぷでBGMを抜いたり、Adobe Auditionでボイス以外の位相を削ったりする作業をほぼ全ての音声で行っています。

映像については全体のアニメ部分はVegasで編集して、一部エフェクトや冒頭静止画部分をAEで制作しています。(画像加工はフォトショとsai)

以下、各セクションごとの音・動画のポイント紹介。

00 前奏:眠れる奴隷

ここの音声はスコリッピの眠れる奴隷とナレーション「ギャング・スターにあこがれるようになったのだ!」の二択で迷いましたが、後者はリズムがあまり合わなそうなのと、やはり5部のテーマを飾るセリフは眠れる奴隷だろう、ということで完成版のものになりました。

原作・アニメではエピローグとして最終話に収録されたエピソードですが、ブチャラティたちが苦難の道を切り開いていくことを祈るセリフとして開幕にピッタリなセリフだと思います。

01 サビ:護衛チーム紹介

これも3部からのプチルールとして、サビの最初はラッシュ声(無駄ァァアアッ!)から始めています。ココロオドルはやはりボーカルが特徴的な曲なので、サビの第一声となる「Enjoy!」の部分は今でも一番重要な「顔」になる部分だと思っています。

護衛チームの序盤の名台詞を使用しつつ、尺の関係でボイスを出せない康一、ブラック・サバス、ズッケェロ、サーレーはバトル映像として出しています。
フーゴの「クサレ脳ミソ」はアニメ本編放送時は効果音が大きくて素材としては扱いづらかったのですが、総集編でSE抑えめのセリフが来たのでそっちを採用しました。

最後の名前呼びは今まで各キャラが順々にやっていましたが、今回はリーダーのブチャラティが点呼する形式にしました。何気に声のトーンが同じ音声を探すのが難しかったです。

02 VS暗殺チーム

暗殺チームパートでは全キャラ出したかったので実は原曲の尺を2番と入れ替えて少し伸ばしています。
暗殺チーム戦は護衛チーム側にも名言がかなり多いので、短いスパンで掛け合うようなセリフの流れにすることを意識しました。

今回の『スデに行動は終わっているんだッ!』のように左右で同じセリフを言わせる演出はジョジョル3部の「魂を賭けよう!」でもやっていましたが、ステレオ感がこの曲に合っていることを改めて認識したので今回も決め所でいくつか使用しています。

03 吐き気を催す邪悪

ここのブチャラティのセリフは屈指の名台詞なのでほぼフルで入れています。

特に「ゆるさねえッ! あんたは今 再びッ! オレの心を『裏切った』ッ!」の部分は原作を読んだ頃からあまりの語感の良さに衝撃を受けたセリフで、実はこのMADもこのセリフでサビに入ることを一番最初に考え、逆算して他のパート構成を決めました。

効果音でリズムを足してブチャラティの過去や組織の麻薬に葛藤するカットを短く入れ込むのはやりたかった演出の一つです。

04 サビ:ブチャラティVSボス

ジョジョル4部と同じく、中間サビに合わせてボス戦です。
開始は「そこだーッ!」を使用する予定でしたが効果音やテンションの兼ね合いで「くらえ!」に変更しました。

ココロジョジョルは個別のセリフよりも流れを作ることを重視しているので、基本的にスタンド名のみのセリフよりも掛け合いとなる名言を入れ込むことに重きを置いていますが、今回は主人公勢のスタンド名を叫ぶシーンは最低1回はどこかに入れるように調整しました。
「おれ自身の命令で護衛するッ!!」もかなり好きなセリフ。

05 VSボス親衛隊

おまえの様な人間に→無駄ァァアアッ! の流れを決めてから逆算してセリフを引いたパート。ボラーレ・ヴィーアもそうですが、曲の決め所に決め台詞を設置することを意識しています。

セリフ合わせに入れにくいラッシュ音声は裏に設置。
「おまえの様な人間に」の部分は原曲とドラムを刻んでサビ前のブレイク感を演出しています。

06 サビ:VSボス親衛隊&ディアボロ登場

地味に切り抜き枚数が多いパート。
『ゴールド・エクスペリエンス』!!と『アリーヴェデルチ』のハモりは入れ込みたかった演出です。

ドッピオが服を脱ぐところにアニメOPのキンクリエフェクトを入れたり、ディアボロの「ポルナレフ!」がジョジョル3部のヴァニラ戦の「ポルナレフ!」と同じ箇所だったりと、いくつか小ネタを仕込んでいます。

07 間奏前半:キング・クリムゾンの脅威
08 間奏後半:真実に向かおうとする意志

間奏パート。結果だけを求めるディアボロと真実に向かおうとする意志を対比して、映像には逃れられない運命(出自)とそれに抗うジョルノたちを配置する構成で進めています。
5部のテーマに沿って時系列横断でこのような演出ができるのはMADならではだと思うので、特にやりたかったパートです。


フーゴに関しては原作での途中離脱の選択を尊重して前奏in・後奏outにすることは最初から決めていました。 しかし、真実に向かおうとした一人として間奏=過程には欠かせないキャラとして登場させている感じです。



また、間奏には打ち込みでアニメ第5部メインテーマ「il vento d’oro」のアレンジを入れています。今回アレンジを入れようと思ったきっかけはアニメ第5話(ズッケェロ戦前)ラスト1分間の、原作の描写をフォローしつつ効果的にBGMを際立たせた演出に感銘を受けたからでした。
まさかこのBGMが別の形で流行るとはここを打ち込んだ時には想定もしていませんでしたが…w(ワザップジョルノ)

間奏は元々自分で打ち込んだ音源でしたが、こういった融通が効かせられるのが打ち込み音源の利点ですね。このシーンはコメントでも好評なようで良かったです。

09 サビ前:チャリオッツ・レクイエム

最後のサビに近づくに連れて緊迫感が増すようなセリフ構成を目指しました。サビに入る前に原曲を消す手法はジョジョル4部の「だが断る」でもやっているお気に入り演出です。
間奏前でも使用していたピンクのキンクリエフェクトはアニメを参考にAEのノイズ系で作成。

10 サビ:矢争奪戦

原作でも印象的なコマだった『「ゴールド・E」は今…発現する!!』でラスサビへ。
ディアボロの手をトランジションとして切り抜いたりしています。

11 ラスサビ:GER発現

最後はGER発現で終了。
コメントで何名かの方が気づいてくれましたが、ここにはジョルノのテーマ(esperienza d'oro)のピアノアレンジを打ち込みで入れています。(テンポ的にはメインテーマに近いですが。)アニメでもGEの殻が破れた時に掛かっていたBGMですね。

ブチャラティの「入れ替わった全ての『魂』は………」~「全ては元に戻るッ!」がアニメでは「入れ替わった全ての『魂』は…元に戻るッ!」とちょっと変わっちゃったので、「全て」「は」「元に戻るッ!」でセリフを再構成しました。
ここの原作セリフは入れ替わった魂だけではなく、「そうなるべきだったところに戻る」という意図もあると思うのでアニメでも構成を変えずに言ってほしかったポイントですね。(勿論この回は作画演出ともに最高でしたが、一つの意見として。)

「オレのそばに近寄るなああーッ」も入れたかったのですが、最後は「終わりのないのが『終わり』」で終わらせたかったのでGERでシメました。リズム的にも刻みがいい具合にハマったかと思います。
一応ディアボロの末路やボスになったジョルノのシーンなどは最後のGERが出るまでの点滅部分にうっすら映像だけ入れ込んでいます。(各2フレームずつですが…)

12 後奏:ジョルノの『夢』

いつものキャラクター紹介パート。
今回はなるべく映像も細部まで手を込めることを目標にしていたので、ラストの背景なども静止画で終わらせずにアニメーションさせています。
「Kokoro JoJoru」のロゴアニメーションも今回用にAEで一文字ずつ制作しましたが結構難しかったです。JoJo→GioGioに変わるアニメーションは特にやりたかった演出。

「このジョルノ・ジョバァーナには『夢』がある!」は最後まで取っておきました。夢を貫き通したジョルノのラストを飾るのはこのセリフしかないと思います。


Parte5:完成~投稿まで
最終回の翌日投稿を目指して編集を続けていたものの、アニメ本編で総集編を挟んだあたりで、このままではクール内でアニメが終わらなそうなことに気づきました。
基本的にテレビアニメは放送枠がクールごとに決まっている(はず)なので、開始日から考えると全39話の5部は2回総集編が入ったら枠内で完結できません。
↑こんな考察をしていましたが、ある意味全部正解だった感じでしょうか。(2話連続1時間スペシャルが夏に放送されました。)この時点で最終回がいつ放送されるのか気にしてるのは自分くらいだったので若干浮いてますね…

最終的にはTOKYO MXの7月の情報更新で最終回が特番であることや放送日などが判明しました。放送スケジュールが分からないアニメは放送局の情報をアテにするのがオススメです。(誰へのオススメだ)

そして、最終回を控えたある日、ジョジョMAD投稿が久しぶりすぎるのもあって、何かTwitterで予告とか打てないかな?と思っていたのですが、最終回2週間前にテレビの歌番組「音楽の日」でココロオドルが登場してTwitterトレンド入りするミラクルが!
あまりに露骨なタイミングなので少し迷いましたが、これこそ黄金の追い風だと思いツイート告知。これのお陰で普段あまりMADを見ていない方にも認識いただけたんじゃないかと思います。

投稿時のツイートは以下。多くの方に見ていただけて良かったです。
今回、動画はニコニコ、YouTube、Twitterにほぼ同時にアップしました。昔よりもネット利用者の趣向も多様化しているので、動画投稿者は特にそれに対応していく必要があるな、とひしひし感じています。
この3サイトはどれも盛り上がるタイミングが異なるため、実際に投稿してみてかなり勉強になって面白かったです。

あとがき
長々と書いてしまいましたが、ココロジョジョル第5部をご視聴いただきありがとうございました。たまに自分の動画を見てジョジョを読み始めた/見始めたという方が居てとても嬉しく思います。
未視聴の方はぜひ原作またはアニメを見てみてください。自分の動画で本編の楽しさをほんの少しでもお伝えできていたら幸いです。


よければ合作の方も見てください。アリーヴェデルチ!(さよならだ)
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