スピン経済の歩き方:木村花さんへのヘイトを煽ったフジテレビは、「無罪放免」でいいのか (1/6)

» 2020年05月26日 08時04分 公開
[窪田順生ITmedia]

 「このような悲劇はもう二度と繰り返してはならない」というムードが瞬間風速的に盛り上がるが、喉元過ぎればなんとやらでまたしばらく経つと同じような悲劇が量産されていく。いつまでこんなことを繰り返しているのだろうか。

 フジテレビの恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演中だったプロレスラー、木村花さんを死に追いやったと言われる「ネットリンチ」のことだ。

フジテレビ系列で放送されている「テラスハウス」。台本は一切ないという(出典:フジテレビジョン)

 ご存じのように、同番組内での木村さんの言動にイラついた”アンチ”の人々が彼女のInstagramに執拗(しつよう)な誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)を行い、その数は1日100件にものぼり、バッシングは彼女の母親のSNSまで及んだという。

 将来を嘱望されていた木村さんの突然の悲劇を受けて、多くのレスラーたちが「狂っている」と怒りの声をあげたが、まさしく狂気の沙汰としか思えぬ粘着ぶりで、彼女に罵声を浴びせ続けた人間がかなり存在しているのだ。

 これを受けて今、「SNS上の謗法中傷が裁かれる社会」を求める声が急速に盛り上がっている。立憲民主党の蓮舫さんもSNSで「対策に動きます」と表明。現行のような開示請求からの罰金などの処罰だけでは抑止力がないので、さらなる厳罰化や、犯人の実名を公表するなどの「見せしめ」も必要ではないかという意見も出てきている。

 個人的には、ネットリンチは傷害や暴行と並ぶ犯罪行為だと思っているので、このような議論が起きるのは喜ばしいことだが、一方であまりこっち方面の話ばかりが盛り上がってしまうことで、ある企業の彼女の死に対する「責任」がウヤムヤにされてしまわないかと心配している。

 その企業とは、フジテレビだ。

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