新型コロナウイルスの影響で来夏に延期になった東京オリンピック(五輪)について大会組織委員会の高橋治之理事が15日までに日刊スポーツの取材に応じ、ウイルス感染状況により来夏も開催が危うい場合、再延期も視野に入れるべきとの考えを示した。大会関係者で再延期の可能性に言及したのは初めて。
高橋氏は「21年夏の開催に向けて一丸となるのが大前提」と前置きした上で、「中止は絶対に避けなければならない」と述べた。中止になれば「日本や世界経済が大きな打撃を受ける」とし、来春の時点で7、8月の開催が難しいと判断されれば国際オリンピック委員会(IOC)に対し、「もう1度、延期を働きかけるべきだ」と主張した。
3月下旬に来夏への延期が決まった後、組織委やIOCの幹部が「再延期はない」「2年後なら中止」との考えを示した。大会中止を懸念したスポンサー企業は、延期による追加協賛金の負担に二の足を踏む状況となっていた。
今月10日、大会組織委員会はひとまず「中止の議論はしていない」と火消し。IOCと合意した「簡素化五輪」への新たな指針とロードマップを公表し、来夏の開催実現に向け、行程通り準備を進めていることを強調した。
ただ、コロナのワクチン開発を開催条件とする考え方や第2波、第3波の懸念もある。その中で、中止を避けるため「再延期の働きかけ」という考え方が出てきた。一方で、22年は北京冬季五輪やセネガルでのユース五輪、その2年後にはパリ夏季五輪が控えていて、再延期のハードルが高いことには変わりない。