東京大学などの研究チームは都内の医療機関で5月25日に採取した500人分の血液について、新型コロナウイルスの抗体検査を実施した結果を公表した。0.8%にあたる4人が陽性だった。先に実施した5月初旬の測定結果とあわせると、一千人中7人、0.7%が陽性となった。
今回陽性となったのは30代、40代、80代の女性と90代の男性の4人。感染後しばらくしてできる抗体「IgG」が陽性で、ウイルスの増殖時などに増えるとみられる抗体「IgM」はいずれも陰性だった。検査時ではなく過去に感染していたと考えられるという。症状の有無は不明だ。
研究に携わる東大の児玉龍彦名誉教授は「80代や90代の陽性者もいたのが印象的だ。高齢者でも重症化する人と症状が出ない人がいるというウイルスの二面性や難しさを示している」と話す。
検査では中国で開発され、東大などが導入した検査機器を用いた。ウイルスが持つ2種類の抗原を使って、検体中のIgGやIgMをつかまえて量を測定する。性能確認のため2019年以前に採取された100人分の血液を試すと、全て陰性だった。