三ノ宮駅の近くをウロウロしていたら、たまたま「占い館アゥルターム」とかいうお店を見つけました。暇を持て余していた自分は、何となくその怪しげな占い館に入ってみることにしました。
表には料金表が張り出されていなかったので、中に入って受付の人に聞くと、最短で10分、2200円だと言うことでした。お金に余裕はなかったのですが、それ以上に心にも余裕はなかったし、店に入って料金だけ聞いて帰るのも悪い気がして、僕は人生で初めて10分間ですが占いをお願いすることにしました。
お金を払うと番号札を渡されて、待合室で待つように言われました。周りには六芒星をモチーフにしたポスターやインテリア雑貨、ドクロの置物などが飾られており、なんだか異世界にいるような雰囲気がありました。
しばらくして僕を呼びに来た占い師さんは30代と思われる男性で、相変わらず六芒星の指輪などを身に付けていましたが、なんというか、お店の雰囲気とは裏腹に普通の、いわゆる第六感なんかを持っていそうな人ではありませんでした。
まず占い師さんは「何について占いますか?」と聞いてきて、ここで「あなたは〇〇に悩んでいますね」とかって言い当ててくれないものかと思いながらも、自分は「どうすれば幸福になれるかを教えて欲しいです」と答えました。
すると占い師さんはタロットカードを慣れた手つきで混ぜ、それをまとめた後に僕の方へカードを渡して、左手を上に乗せてどうすれば幸福になれるかをカードに問うてくださいと言いました。言われた通りにそれをカードに伝えて、それからそのカードを3つに分けるよう言われたので、同じく言われた通りに分けました。
その分けたカードを占い師さんは何か訳の分からない手順で12枚表に並べて、それを見て以下のような助言をくれました。
過去に答えを追い求めず、幸福のエネルギーを自ら見出していかなければならない。その為には仕事をして人とコミュニケーションをとらなければいけない。と言うのです。
自分は退院後はアルバイトをしながら好きな音楽をしようかと思っていたので、その自分の選択はあながち間違ってはいなかったのだと安心しました。
そんな気持ちで占いを終えて店の外へ出て、何となくその店の看板を改めて見てみると「占い師のアルバイト募集」と書いてあって、自分は興が冷めた気持ちになり、急にあの2200円が惜しく思えてきました。
占いは受けるよりも、アルバイトでした方が良いという新しい発見でした。