僕のフレンド   作:とし3

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最終回を迎える前の、終わってしまうと絶望した雰囲気が
アインズ様を連想したってだけのネタ…


なざりっく

 

 『――――楽しかったんだ。本当に…、楽しかったんだ』

 

 

 今日は〝けものフレンズ〟最後の日――12話、そう…最終話の放送の日である。

 

 恐らく今頃ひっきりなしに掲示板に画像を貼ったり、予想をしたり、〝みんみー〟と意味も無く書きこんだり‥それとも最後はハッピーエンドであって欲しいと願いを託している所だろうか。

 …そういったすべてを遮断しているモモンガには分からない。

 

 モモンガは背を椅子に任せ、ゆっくりとモニターに顔を向ける。

 最終回放送日をだからこそ、共に見ようと遊びに来るフレンズ(ギルドメンバー)がいるかと思っていた。

 待っていた、ギルド長としてフレンズを歓迎するために。

 

 「低予算のCGアニメか――」

 

 モモンガは思う。 

 OPの車輪が動かないほどの低予算な作品でも、画面が急に暗くなってしまう不安な1話でも、

 安っぽく見えるCGでも紡がれる物語は実に楽しかった。

 

 「そうだ、本当に楽しかった――」

 

 メインとなるソシャゲが終了してしまったのにアニメが放送されると聞いて、モモンガはただの敗戦処理アニメだと思っていた。モモンガとしても期待して見るのではなくペロロンチーノさんがふらりと戻って来た時の話題になればと、…そんな気持ちでけものフレンズの放送を眺めていた。

 

 最初はそんな気持ちで流し見をしていたモモンガも、何時の間にか、このアニメに夢中になっている自分を自覚していた。それは忘れかけていた優しさや、心の温かさ…リアルでの友人が無く、ユグドラシルでも仲間達が去って行ってしまったアインズの心に深く優しく染み込んでいった。

 …かばんちゃんとサーバルとボスの3人の冒険を見ているのは本当に楽しかった。

 

 だが、それ以上に去って行ったギルドの仲間達を思い出し…それが嬉しかったのだ。 

 

 リモコンを握り締める。終わりの時間は迫っている。

 視界の隅に映る時計には1:31。放送時間が1:35。

 もう殆ど時間は無い…空想の世界は終わり、普段の毎日が来る。

 

 当たり前だ。我々はジャパリパークでは生きれない。…モモンガはため息をつく。

 明日も4:00起きだ、この放送が終わったら、すぐにでも仮眠をとるべきだろう。

 …モモンガは覚悟を決め、物語の終着点である最終話へと挑む。

 

 モモンガの…いや、鈴木悟の頬に暖かい涙が触れた。

 それは、かばんちゃんとサーバルを助けるためにフレンズ達が駆けつけてくれたシーンだ。

 

 (もし、俺がもう少し上手く立ち回れていれば仲間達は去って行かなかったのだろうか?)

 

 自己評価の低いモモンガは、このような〝もしも〟を考えてしまい、自らを傷つける。 

 顔には笑顔が浮かぶものの、どうしても比較して心の中に黒いモヤモヤが生まれてしまう。

 そして遊園地でフレンズ達と過ごすかばんちゃんの光景を見て、深い憧憬と…活気に満ちていた栄光あるアインズ・ウール・ゴウンの素晴らしき日々を思い出し感傷が胸を締め付けた。

 

 番組が終わり、モモンガは一人黙って天井を見上げる。

 迎えたハッピーエンドな事に安堵し、ふと、最後のサーバルの言葉を思い出す。

 

 (やっぱり、もうちょっとついていこうかなーって)

 

 ナザリック…いやユグドラシルで待つのではなく、去っていく仲間達に付いていく選択肢…

 モモンガはオフ会もやったこともあるのでユグドラシル外での繋がりも否定していない。

 実際に「他のゲームに来ませんか?」とのお誘いを受けた事も何度かはある。

 

 だが、仲間達と全てを掛けて作り上げてきたこの場所を捨て去ると言う考えは持てなかった。

 モモンガは我が子を慈しむように、円卓の机を撫で、再び深くため息を吐く。

 背もたれに体を預けたモモンガは、最終話を見た安心感からか、疲労が限界に来ていたのか、

 

 ――モモンガはそのまま意識を失ってしまう。

 

 

 

 

 「寝ちゃってるのかなぁ?」

 「えっと、フレンズさんですよね…セルリアンにやられちゃったのかな?」

 

 地面に寝転がって倒れているモモンガを2人の少女が不安そうに見つめていた、一人は帽子を被り、一人は猫耳のようなものを付けた女の子だ。彼女達は心配そうにモモンガに声をかけてきた。

 その声に反応して意識を取り戻したモモンガは、慌てて周囲を見回し、勢いよく体を起こした。

 

 「くそっ、寝落ちか!どれだけ寝てた…?時間は!今何時だ!?」

 

 ログインしたまま完全に寝落ちをしてしまっていた…当然、目覚ましも用意していない、絶望的な気分になりながら慌てて視界に映るはずの時間表示を探すも見つからない。ログアウト機能を使おうと視線を動かすと、目の前には先ほどまでモモンガを覗き込んでた2人の少女が居た。

 彼女たちはモモンガと目が合うと驚いたように後ろに飛び下がり、1人は尻餅をついた。

 

 「うわーっ、たっ、食べないでください!」

 「食べちゃ駄目だよ!」

 

 「食べないよ!?…ってここはどこだ?寝ている間に新パッチでも当たったのか??」

 

 モモンガは驚いてどこかで聞いたような言葉を返す…だが、それも仕方ないだろう。

 目の前には先ほどまで見ていた〝けものフレンズ〟のキャラが居るのだから。

 

 …NPCにしては異常に高性能にできている。

 まるで本当に生きているようだと、モモンガは最新パッチの凄さに、驚きと興奮を隠せない。

 安全なナザリックから、PKがしやすい遮蔽物のない外MAPに勝手に飛ばされた事はともかく、普段はろくな事をしない糞運営の粋な心意気に、出勤時間も忘れてモモンガは満悦していた。

 

 「ここはジャパリパークだよ、私はサーバル!かばんちゃんとボスと一緒に旅をしてるんだ」

 「あ…と、私はかばんです、ヒトのフレンズの仲間を探しています、知っていたりしますか?」

 

 …モモンガは黙って首を横に振る、そうだヒト、人…人種だ。

 残念だがこのイベントは異形種には完全に楽しめないイベントのようだ、…糞運営め!

 うなだれるモモンガを見かねて帽子を被った女の子が語り掛けてくる。

 

 「あの、あなたは何てフレンズなんですか?」

 「お友達になろうよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あー、これはモモンガさん完全に寝落ちしちゃってますね?」

 「時間も時間だ、仕方あるまい…しかし驚いたものだ、まだナザリックが残っていたのだな」

 

 寝落ちしたモモンガを、ログインしてきたばかりの2人のプレイヤーが優しい目で見守る。

 彼らの名前は、ペロロンチーノとブルー・プラネットと言った。

 あの悪名高い、難攻不落のナザリック地下大墳墓の9階層まで来られるものなど限られている、彼らはアインズ・ウール・ゴウンの41人の仲間達だ。最近はログインもせず、疎遠になっていた彼らが再びナザリックに顔を出したのは、彼らも〝けものフレンズ〟の最終話を見ていたからだ。

 

 「モモンガさんがずっと維持していてくれたんですね…」

 「そうみたいだな、彼には苦労をかけてしまったようだ」

 

 深夜にこの気持ちを語り合いたかったペロロンチーノと、大興奮から過去にナザリックに作った自然エリアを探索して見たくなったブループラネットの2人はナザリックに駆けつけていた。

 だが、一人ログインしたまま寝落ちをしてしまっているモモンガを見て、しんみりとしていた。

 

 「…お友達になろうよ」

 

 寝ぼけて呟くモモンガを見て二人は驚き、お互いの顔を見つめて苦笑いをした後。

 彼らは恐ろしい外見をした死の超越者(オーバーロード)のモモンガの頭を優しくなでる。

 

 

 ――翌日、鈴木悟は当然遅刻をしてしまって上司に平謝りだったのだが、

 ――その顔は何故か不思議と満たされた顔をしていた。

 

 




けもフレの放送年は西暦2127年

けもフレは実際、最終回を迎えてみたら心がしっかりと満たされて
予想以上にけもフレロス症候群が起きなかった。



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