武田・上杉家

Gackt起用でザワついた大河ドラマ『風林火山』はやはり名作だ!

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大河ドラマ『風林火山』
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    ある意味人間ではない……からこそハマッたGackt謙信

    本格的な対決の前に、景虎は既にチラチラと出てはいました。

    『思ったよりも悪くないんでは……』という声をもありましたが、それでも出番が増えていざ激突となると、本当にGacktさんで大丈夫なのかという懸念があったのは確かです。

    しかし、です!

    これが実にハマリ役でした。

    本作の景虎は、戦以外どうでもいい、毘沙門天の生まれ変わりという自分で考えたシナリオに陶酔する、見ようによってはちょっと危ない人でした。

    敵を前にして、矢が飛んでくる状況の中、悠々と酒を飲む場面はその真骨頂。

    「この人はある意味人間ではないから仕方ないのではないか」

    そう納得させられました。

    本作には「俗世に嫌気がさした景虎が家出して高野山に来てしまい、そこで偶然山本勘助と出くわして斬り合いになる」という、今思い出しても形容に困るような場面があるのですが。

    それでもこの景虎ならば仕方ない!

    奇妙な説得力がGacktさんにはありました。

    当初は受け狙いのイロモノ扱いされていたGacktさん。

    しかし蓋を開けて見れば、写真集は出されるわ、謙信公祭に何度も呼ばれるわ、本作を象徴するキャストに数えられていたのでした。

    Gacktさんを支える軍師・宇佐美定満役は緒形拳さんで、これまたいぶし銀で画面を引き締めています。

    主君にあたる大名を大河では見なかったようなキャストで固め、家臣を渋く実力のあるベテランで固めた本作のキャスティングは実に巧み。

    緒方さんを筆頭に上杉家臣団もバランスがよく、敵でありがなら実に魅力的に描かれていました。

    冒険をしつつもしっかりとしたキャスティング、骨のある脚本、それに応える役者の熱演、こうした要素がかみ合って、本作は愛すべき作品になっていたのです。

     

    合戦シーンで人馬も予算も不足している

    ここまで本作の魅力を書いてきましたが、欠点がないわけではありません。

    私が考える最大の欠点は、原作とオリジナル部分の整合性が悪いところです。

    序盤はじめ、オリジナル部分の方が優れていて、原作の中核にあった「高嶺の花である由布姫を神聖化し、あこがれる勘助」という要素があまりうまく取り入れられていなかった気がします。

    私は原作からのメインヒロインである由布姫よりも、オリジナルヒロインであるミツの方に魅力を感じましたし、由布姫が前面に出てくるパートはあまり面白くありませんでした。

    もうひとつは佐藤隆太さん演ずる平蔵。

    勘助と裏表を為す人物であったあまり、うまく使いこなせておらず、彼個人の強烈なアンチすら生み出してしまったことです。

    「本作は好きだけど、平蔵は大嫌い」という感想もあったほどです。

    そして最後に、これは本作だけではなく大河全体の課題ですが、合戦シーンの迫力不足があげられます。

    役者の熱演と殺陣でカバーしようとしていましたが、正直、不十分でした。

    本作の合戦は不自然なまでにバストアップばかりが目立ち、人も馬も予算も不足しているのは見ていてわかりました。

    そこはそういうもの、と割り切って見るしかないと思います。

    個人的にはこうした欠点をVFXで補う時代が来るのではと期待しているのですが、まだ少しそれには早いようです。

    このように今振り返ってみると、傑作と呼ぶには何かが足りない本作ですが、全体的にみてとても魅力にあふれた作品であることは確かなのです。

    本作を語ろうと思ったらまだまだ魅力はつきません。

    「ネットでいじられる大河」の元祖が本作であることにも触れておきたいと思います。

    勘助にあっさり斬られる青木大膳、台詞の読み方に特徴があったため動画サイトでさんざんいじられた庵原元政など、大河ドラマをフリー素材にして遊ぶ視聴者が多かったのも本作の特長です。

     

    内野聖陽さん、高橋一生さん、貫地谷しほりさんなども出演

    最後に「振り返って『風林火山』を見る楽しみ」についてまとめて終わりとさせていただきたいと思います。

    まずは出演者です。

    『風林火山』で実力を発揮して、その後大河常連となったキャストが大勢出ています。

    『おんな城主 直虎』には貫地谷しほりさん、高橋一生さん。

    『真田丸』には徳川家康役の内野聖陽さんなど、例を挙げたらきりがないほどです。

    そして本作を今見る最大の楽しみは、やはり「真田昌幸があこがれていた武田全盛期を見る」ことではないでしょうか。

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    『真田丸』のファンにとっては見逃せません。

    昌幸の父である幸隆、役名こそ違うものの、おとりの若い頃も見られるのです。

    昌幸自身、北条氏政、徳川家康の少年時代も登場します。

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    『真田丸』の前日談、『おんな城主直虎』で今後たちふさがる敵となる武田信玄の物語として、本作は昨年や今年とまとめて二度おいしい、今だからこそ見て噛みしめる、そんな作品となっています。

    そしてこれは完全に個人的願望です。

    脚本の大森氏はいつ、大河に登板するのでしょうか。

    篤姫』や『天地人』の脚本家が10年以内に再登板しているのですから、彼もまた是非とも大河を手がけていただきたいところです。お願いします、NHKさん!

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    文:武者震之助

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