事件に巻き込まれた被害者は、恐怖と共に加害者である犯人に憎悪や嫌悪を感じることが通常と第三者からは思われがちですが、まれに被害者と犯人が連帯感や信頼関係のもと強く結びつき、被害者自身が警察を敵とみなしてしまうケースも実在しています。
それが、ストックホルム症候群です。
ストックホルム症候群は、1973年にスウェーデンのストックホルムで起きた銀行強盗事件が名前の由来となっています。犯人は銀行に訪れていた多数の人たちを人質にとり1週間立てこもったのですが、その後警察によって開放され無事に保護されたはずの人たちが口々に犯人を擁護したり警察を非難する発言を繰り返しただけでなく、人質の1人が犯人と結婚してしまったことから、極限状態や非日常空間の中での特殊な心理変化が注目されることとなりました。
一方、リマ症候群はストックホルム症候群とは間逆で、犯人が人質に対して特別な感情や親近感を抱くようになり、人質に対する態度が軟化する現象のことを言います。
1996年にぺルーのリマにある日本国大使公邸で開催されていた天皇誕生日祝賀レセプションの最中に左翼のテロ組織が乗り込み、爆発物と拳銃を武器に公邸を占拠しました。
72人もの各国の大使や政府関係者が127日間に及ぶ監禁生活を強いられたのですが、テロの実行者である犯人たちは知識層である人質たちと共に過ごすことで、これまで知る由もなかった他国の文化や習慣などに興味を覚え、勉強するようになりました。犯人たちは人質を先生として慕うようになり、ペルー軍特殊部隊が突入した時には人質に危害を加えることなく全員射殺されたとのことです。
テロ組織にいた若者たちが、十分な教育を受けられる生活に困らない環境に身を置いていれば、このような事件は起きなかったのでは・・・と思わされる結末でした。
つまり、ストックホルム症候群は被害者が犯人に好意を抱き、リマ症候群は犯人が人質に好ましい感情を持つという違いがあります。
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