人気歌手らが続々“参戦”――。米ミネアポリス近郊で先月25日、黒人男性が白人警察官に路上で首を押さえつけられ殺害された事件を機に、「Black Lives Matter(黒人の命も大事だ)」というスローガンの下、反黒人差別運動があっという間に全米はおろか世界にも広がった。各地で大規模な抗議デモが繰り広げられる中、白人のセレブたちも、運動に同調する発言を連発している。中でも歌姫テイラー・スウィフト(30)を動かしたのは1通のファンのメールだった。
「世界のセレブ長者番付」の常連としても知られるテイラーが10日、なんとも珍しくツイッターを3回連続して投稿した。その中身とは…。
「地方や国の行政に人種的偏見は深く根付いているから変革が必要」「警察の暴力や差別をなくすために戦う人を選挙で選ばなくては」などと訴えたのだ。
続けて、バラク・オバマ前大統領(58)の変革のための主張をリンクし、運動を支援する姿勢を強調した。
だが実はこれ、あるファンがテイラーに送った1通の猛批判メールがきっかけだったようだ。
米芸能サイト「ショービズ・チートシート」によると、「テイラーへのメッセージ」と記されたメールには「私たちはファンとして、こんなことを言うのは心が痛みます」と前置きしたうえで、「『黒人の命も大事だ』運動へのあなたの無関心さには、失望以上のものを感じています。路上では無実の人たちが殺されている中、ただそこで座って見ているなんて許されない」と、テイラーを非難したのだ。
また、若者層から絶大な支持を受けるシンガー・ソングライター、ビリー・アイリッシュ(18)や、人気歌手アリアナ・グランデ(26)らは今週、警察の懲戒処分記録などを非公開とする、ニューヨーク州の州法を撤廃するよう求める署名活動を「支持する」と表明した。
ビリーやアリアナは、音楽ジャンルの一つになっている「アーバン」についても、人種差別として問題視する動きに同調。黒人アーティストの多くが「アーバンを“黒人音楽”とひとくくりにすること自体、差別的だ」と訴えている。
その動きを受け、アリアナらが所属する「リパブリック・レコード」は今週、「アーバン」というジャンル名を今後は使用しないことを表明した。
一方、1990年代を代表する米国民的ドラマ「フレンズ」の“生みの親”で、作家兼テレビプロデューサーのマルタ・カウフマン氏(63)が今週、オンライン討論会に出席。同ドラマの主人公男女6人が全員白人だったことに触れて「もしその時の私が今の私だったら、もっと違った決定をしていた」と、当時は多様性に欠けていたことを謝罪。今だったら、黒人俳優を起用していたことを示唆したのだ。
「黒人の命も大事だ」運動に対し「黒人の命だけ?」などと異論を唱えようものなら、いまやセレブたちも“袋叩き”という流れになっているようだ。