安旨ウイスキーとして今回は、ニッカウヰスキーのブラックニッカスペシャルを飲みます。

元祖ヒゲのおじさんのウイスキー

bnsp_2020_ブラックニッカスペシャルは1985年に発売されました。
元々は、1級ウイスキーとして1965年に発売されたブラックニッカをルーツとしています。
このブラックニッカは、それまでニッカにとって空白であった1級ウイスキーの第一号であるとともに、2020年になってルパン三世に盗まれて話題になった、ヒゲのおじさんことW.P.ローリーの肖像画が描かれた最初のボトルでもあります。

元祖ブラックニッカは、同じ1級ウイスキーであったサントリーホワイトに対抗するかのように黒のラベル、ブラックの名称を採用し、さらには特級ウイスキーであったサントリー角瓶すらライバル視する広告を打ち出して発売されました。
前年に発売されたハイニッカと共に、長らくニッカの人気を牽引する立役者となりました。

そして1985年に、ブラックニッカスペシャルとしてリニューアルされました。
その20年の間に、第二の蒸溜所として宮城峡蒸溜所が建設され、宮城峡モルトを加えた新しいブレンドになりました。

しかし、ウイスキーの消費が低迷しはじめ、さらに1000円以下のブラックニッカクリア(発売当初はクリアブレンド)がリリースされると、酒屋さんでも見かけることが少なくなっていきました。

その後、ニッカの創業者である竹鶴政孝をモデルにしたドラマ「マッサン」の制作が開始されると共に、スーパーやコンビニにもブラックニッカスペシャルが出回るようになり、現在は比較的手に入りやすくなっています。

同じ価格帯として、香り重視のリッチブレンドと、味わい重視のディープブレンドが併売されています。

では実際に飲んでみます。

ストレート

最初に紅茶とリンゴ、ブドウの香りが一緒にやってきます。アルコールの刺激は少なめ。
味わいでもアルコールからの辛みは少なめで、甘みが全体に広がります。その奥から、フルーツの柔らかい酸味がついてきます。

思った以上に熟成感があり、アルコールからのとげとげしさは少なく、比較的飲みやすい印象です。

ロック

最初にカラメルとバニラの甘い香りが広がり、続いてリンゴ、そしてブドウのフルーティさがやってきます。ピートからのスモーキーな香りは少々控えめな印象です。

味わいは甘みが一気に広がり、奥からほのかに苦みが感じ取れます。

ストレート同様に、甘みがしっかりして飲みやすいです。

水割り

トゥワイスアップにすると、スモーキーな香りに包まれる形で、ブドウとリンゴの香りが一気に広がります。その後にカラメルの甘い香りが続きます。

味わいは、ほろ苦さが多少あるものの、全体的に甘みが強いです。酸味は後味として残る印象です。

一方で1:4で割ると、リンゴの香りが広がり、奥からブドウも訪れます。そして最後にピートのスモーキーな香りが締めます。

味わいは、まろやかな酸味が広がり、後から甘さもやってきます。

加水を少なくする方が甘みが感じやすくなり、加水するほど酸味が増してきます。

ハイボール

1:3で割ってみると、先にリンゴの甘い香りが広がり、続いてブドウ、最後にスモーキーな香りが追いかけてきます。

味わいは、苦みを少々伴いつつも、全体的には酸味が少々目立った印象です。
ストレートやロックと違い、さっぱりと飲める印象に変わります。

まとめ

はじめてスペシャルを飲んだとき、ボディが重くてパンチの効いたウイスキーだなぁ、と思ったのですが、様々な銘柄を飲んでいくと、ウイスキーとしての体をしっかり残しつつ、甘さとフルーティさを持たせたブレンドなんだと実感しました。

香りの華やかさはリッチブレンドが上ですが、味わいや飲みやすさではスペシャルが上回ります。
また、どのような飲み方でも表情こそ変われど違和感を感じることが少なく、オールラウンダーのウイスキーだと思います。

値段は場所によっては1500円近くになりますが、なかなかお金をかけられない人でも、十分満足できるボトルでしょう。
  • メーカー:ニッカウヰスキー
  • 容量:720mL
  • アルコール度数:42度
  • 香り:紅茶、リンゴ、カラメル、ブドウ、バニラの香りが広がる。加水でピートが訪れる。
  • 味わい:アルコールからの辛みは少なめ。全体的に甘みが主体で酸味は柔らかく、苦みも抑え気味。
  • ストレート A: アルコールの辛みが少なく、甘くて飲みやすい。
  • ロック A: 甘みが主体。奥からピートも香ってウイスキーらしさが増す。
  • 水割り B: トゥワイスアップでは苦みが顔を出す。1:4ほどだと苦みが消える。
  • ハイボール B: 酸味がメインとなってさっぱりした印象に変わる。