769億円は法人→電通→子会社…身内で外注を重ねムダ遣いの疑念

2020年6月9日 06時57分

東京都港区の電通本社ビル

 不透明な法人を通じて委託・外注が繰り返され、七百六十九億円の税金が見えない形で法人の身内の企業に配分される。予算の無駄遣いという疑念を晴らせず、経済産業省は持続化給付金の業務を終える前に、異例の支出チェックに追い込まれた。
 もともと公表されていたのは、七百六十九億円で給付金の事業を一般社団法人サービスデザイン推進協議会が受託していたことだけだった。実際は法人が委託費の97%を支払い、電通にほぼ業務を「丸投げ」。予算上では、まず一億八千万円の国費が実体の乏しい法人に流れることが問題になった。
 さらに電通は法人に隠れる形で子会社五社に業務を外注。子会社の一部も電通と同様に法人の設立に関わった人材派遣のパソナなどに、業務の一部を発注していた。委託・外注の回数が多くなれば、それぞれの企業で税金を「中抜き」されかねない。今回の構図では外注先も身内の企業ばかりなので、外注費を下げるような競争も働きにくくなっている。
 経産省と法人との距離の近さも問題になった。経産省は法人設立から四年で十四件・千五百七十六億円の事業を委託。定款の作成など、法人の設立に役所自体が関与したという疑惑も浮上している。これまでの密接な関係を断ち切った厳しい検査を経産省が実施できなければ、無駄遣いの疑念はむしろ深まり、納税者の不信は高まることになる。 (桐山純平)

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