実体乏しい法人に経産省が850億円を追加委託へ 設立から決算開示せず
2020年6月4日 07時51分
中小企業などに最大二百万円を支給する持続化給付金で、経済産業省が事業を受託した一般社団法人サービスデザイン推進協議会に対し、委託費を約八百五十億円増やす方向で検討していることが分かった。これから国会で審議される二〇二〇年度第二次補正予算案で給付金事業を拡充したため。一次補正分との合計委託費は千六百億円規模となり、実体の乏しい法人に多額の税金が渡る見通しだ。 (皆川剛、桐山純平)
遠山清彦財務副大臣が三日、衆院経済産業委員会で明らかにした。給付対象を今年創業した企業に広げるなど制度の拡充を委託費の積み増し理由に挙げた。
すでに実施に移っている一次補正分については、法人は委託費の97%に当たる七百四十九億円で電通に事業を再委託。電通から、人材派遣のパソナや電通子会社など法人の設立に関わった企業に非公表で外注されていた。二次補正分についても、経産省は現在の体制で再委託を継続する方針だが、省内には「今の体制に批判もあるので、同じ形では委託しにくい」との声もある。
法人の実体の乏しさを裏付けるかのように、ずさんな運営が新たに判明。社団法人に関係する法律で義務付けられている官報などへの決算開示を、法人は一六年五月の設立から一切していなかった。法人は「事務の連絡ミス」と説明している。
開示を怠った法人には、行政罰として百万円以下の過料が科されるが、法務省の担当者によると「過料を取られた法人を聞いたことはない」という。
企業統治などが専門の久保利英明弁護士は「多額の税金を扱う体をなしていない。国の事業を行う資格はない」と法人を批判する。
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