RPA製品比べてみた

はじめに

以前、RPA製品選定を行うにあたって、ググったりQiita内の記事も参考にして比較していたのですが、「とある機能/観点に対する比較」している記事しかなく、もうちょっといろんな観点で比較してまとめられた記事があったらいいな、と思ったのが本記事のきっかけです。

比較対象製品

本記事では、以下の製品を対象とします。

いずれも国内でそれなりのシェアがあって、そこそこ名前の知られているものかと思います。

なお、この調査は2020年4月にカタログベース(各種製品マニュアルやその他ウェブサイトの記事ベース)で行ったため、古い/誤った情報である可能性もあります。

誤り等あればコメントでご指摘頂けると幸いです。

なお、対応度については以下の通りとします。
* :heart_eyes: : 最高。文句なし。
* :laughing: : 良い。機能については対応されている。
* :thinking: : 微妙。機能については対応されていないが、他の手段でなんとかなりそう。
* :cold_sweat: : 非対応・実現不可。

コスト観点での比較

製品そのものの購入・利用価格。

どの製品もオフィシャルでは公開されていないようなので、他のサイトを参考にしてください。
構成等でも変わると思いますので、正確な価格は各代理店への見積もりが必要です。

導入面での比較

製品評価のしやすさ

評価版の入手のし易さ、評価中の機能制限など。

製品 対応度 コメント
UiPath :heart_eyes: ここから申し込み。
60日間使用可能。

なお、個人利用・小規模事業者の場合は、Community Editionであればずっと無料で使える。
WinActor :laughing: ダウンロードリンクは無し。
NTTデータもしくは代理店への申し込みが必要。
60日間使用可能。(30日間という情報もあった。代理店によって違う?)
Biz Robo! :laughing: mini版はここbasic版はここから申し込み。
いずれも30日間使用可能。
Automation
Anywhere
:laughing: ここから申し込み。
30日間使用可能。

稼働形態

デスクトップ型なのかサーバー型なのか。

製品 クライアント型 サーバー型 コメント
UiPath :heart_eyes: :heart_eyes: サーバー型を利用する場合は、UiPath Orchestratorが必要。
その場合、SQL ServerとIISも必須。
WinActor(WinDirector) :heart_eyes: :heart_eyes: サーバー型を利用する場合は、WinDirectorが必要。
Biz Robo! (Basic版) :heart_eyes: :heart_eyes: mini版だとデスクトップ型のみ。
サーバー型にしたい場合はBasic版。
Automation
Anywhere
:cold_sweat: :heart_eyes: スタンドアロンでは動かせないっぽい

情報量

導入前(製品購入前)に得られる情報。
マニュアルの参照や、Qiitaその他ネットで得られる情報の多さ。

製品 対応度 コメント
UiPath :heart_eyes: めっちゃ多い。公式マニュアルも参照可能。YouTubeに無料のEラーニングもある。
[参考]6/9時点Qiita記事数:456
WinActor :thinking: 公式フォーラムがあるが、会員登録(無料)が必要。
[参考]6/9時点Qiita記事数:92
Biz Robo! :thinking: マニュアル類は登録しないと見れない?
[参考]6/9時点Qiita記事数:88
Automation
Anywhere
:laughing: ググるとそこそこ情報はある。
[参考]6/9時点Qiita記事数:271

製品サポート

これは全製品で、サポートあります。
気になったところをコメントとして記載します。

製品 対応度 コメント
UiPath :heart_eyes: LTS版のサポートは、メインストリーム2年+延長1年。
WinActor :heart_eyes: 純国産(NTTデータ製)で、サポートが充実しているのが強み。
Biz Robo! :heart_eyes: こっちはメインストリーム3年+延長1年?
Automation
Anywhere
:heart_eyes: -

インストール要件

インストールに必要な他のソフトウェアなど。
特に優劣があるポイントではないので、対応度は省略します。

製品 コメント
UiPath Orchestratorを使用する場合、IISとSQLServerが必要。
クライアント型なら特に無し。
WinActor WinDirectorを使用する場合、PostgreSQLが必要。
ActiveDirectoryサーバーも必要っぽい?
クライアント型なら特に無し。
Biz Robo! Basic版でサーバー型とする場合、OracleDBやSQLServer等のデータベースが必要。
クライアント型なら特に無し。
Automation
Anywhere
SQLServer または Oracle Database が必要。

機能面での比較

開発機能面

レコーディング機能

製品 対応度 コメント
UiPath :heart_eyes: 5種類のレコーダーがある。
Basic: 一般的なアプリケーション。(完全セレクタ生成)
Desktop: 一般的なアプリケーション。(部分セレクタ生成)
Web: Webアプリ(ブラウザ)特化。
Image: 画像認識。
Native Citrix: Citric環境用。

BasicとDesktopの違いは、セレクタの生成方法。
セレクタの概念の説明が必要なので詳細は省略します。
WinActor :thinking: UiAutomation非対応なので、レコーディングできる/できないアプリがある。
できないアプリは座標/画像認識になるので精度が低くなる。(※)
Biz Robo! :thinking: レコーディングはできるが、最初の設定がめんどくさいという情報があった。
Automation
Anywhere
:heart_eyes: 3種類のレコーダーがある。
Smart Recorder: 一般的なアプリケーション。
Screen Recorder: 座標・画像認識系。
Web Recorder: その名の通りWebアプリ(ブラウザ)特化。

※ 他の製品でも、どうしても座標/画像認識になってしまう場合はあるようなので、:heart_eyes:=精度も完璧!画像認識なんて使わないぜ!とはなりません。

デバッグ機能

調べ方が悪かったのか、全体的に情報が少なかったのでちょっと自信が無いです。
誤りがあればコメント欄でご指摘ください。

製品 対応度 コメント
UiPath :heart_eyes: ステップ実行や変数監視など可。
Visual Studioを使ったことがあるなら簡単そう。
WinActor :heart_eyes: デバッグ機能が乏しいらしい?
Ver6からデバッグ機能が拡充されたようです。
Biz Robo! :heart_eyes: ステップ実行など可。
Automation
Anywhere
:heart_eyes: ステップ実行など可。

対応ブラウザ

製品 IE Edge Chrome Firefox コメント
UiPath :heart_eyes: :heart_eyes: :heart_eyes: :heart_eyes: EdgeとChromeとFirefoxは、ブラウザにプラグインを追加する必要がある。
WinActor :heart_eyes: :thinking: :heart_eyes: :cold_sweat: EdgeはChromiumベースになったのでEdgeも使えるのかも?
うまく動かないという情報もあったので、Edgeに関してはちょっと微妙です。
Biz Robo! :cold_sweat: :cold_sweat: :cold_sweat: :cold_sweat: WebKit/Chromiumベースの独自ブラウザによる操作になっている。
Automation
Anywhere
:heart_eyes: :heart_eyes: :heart_eyes: :heart_eyes: ブラウザによってはプラグインが必要。

Officeとの親和性

製品 対応度 コメント
UiPath :heart_eyes: Excel、Wordなど操作可能。Office365にも対応。
WinActor :laughing: Excel、Wordなど操作可能。Office365は非対応。
Biz Robo! :heart_eyes: Excel、Wordなど操作可能。Office365にも対応。
Automation
Anywhere
:heart_eyes: Excel、Wordなど操作可能。Office365にも対応。

VBA(マクロ)の実行

製品 対応度 コメント
UiPath :heart_eyes: Excelマクロを直接実行可能。
VBScriptを呼び出すこともできる。
WinActor :laughing: Excelマクロを直接実行可能。
Biz Robo! :thinking: 標準機能でExcelマクロを直接呼び出すことができない。
自動操作を使ってマクロ実行ボタンを押す操作をするか、VBSに吐き出してコマンドライン実行する必要がある。
Automation
Anywhere
:heart_eyes: Excelマクロを直接実行可能。
外部スクリプト(VBS,JavaScript,Python)の実行も可。

データベースの操作

製品 対応度 コメント
UiPath :heart_eyes: ODBC接続可能。
WinActor :heart_eyes: ODBC接続可能。
Biz Robo! :heart_eyes: JDBC接続可能。
Automation
Anywhere
:heart_eyes: SQL Server, Oracle, MySQL, PostgreSQLなど接続可能。

コマンド実行

コマンドの実行(.exe 引数指定みたいな感じ)ができるか?
他にPowerShellやSSHなどの対応状況。

製品 対応度 コメント
UiPath :heart_eyes: コマンドライン実行可能。
SSHやPowerShellも対応。
WinActor :laughing: コマンドライン実行可能。
PowerShellも対応。
SSHは非対応。
Biz Robo! :laughing: コマンドライン実行可能。
PowerShellも対応。
SSHは非対応。
Automation
Anywhere
:heart_eyes: コマンドライン実行可能。
SSHやPowerShellも対応。

運用機能面

シナリオの全体統制

野良ロボットを許すか許さないのか。

製品 対応度 コメント
UiPath :heart_eyes: サーバー型(Orchestrator)なら可能。
WinActor :heart_eyes: サーバー型(WinDirector)なら可能。
Biz Robo! :heart_eyes: サーバー型(Basic版)なら可能。
Automation
Anywhere
:heart_eyes: 可能。

スケジューリング機能

製品 対応度 コメント
UiPath :laughing: クライアント型とサーバー型でちょっと異なる。
【クライアント型】
タスクスケジューラーから実行できるが、ユーザー操作が伴わないとライセンス違反。
 (例)
  ユーザーログイン時の自動実行:OK
  時間による自動実行:NG
【サーバー型】
Orchestratorでスケジューリングが可能。
WinActor :laughing: サーバー型(WinDirector)ならスケジューリング可能。
クライアント型の場合は、タスクスケジューラーの範囲なら可能。
Biz Robo! :heart_eyes: クライアント型/サーバー型問わずスケジューリング可能。
Automation
Anywhere
:heart_eyes: スケジューリング可能。

トリガー機能

製品 対応度 コメント
UiPath :laughing: ・アプリトリガー:プロセスやウィンドウの開始/終了をトリガーにする。
・ファイルトリガー:ファイルの作成/更新/削除をトリガーにする。
・ユーザー操作トリガー
シナリオに組み込む必要があるっぽい。
(Orchestratorの場合、Orchestratorにトリガー登録するのではなくて、例えば毎日x時に起動して、シナリオ上のトリガーで待機するようなイメージ?)
WinActor :thinking: メール受信トリガーはあるみたい。それ以外はなさそう。
Biz Robo! :laughing: ・アプリトリガー
・ユーザー操作トリガー
Automation
Anywhere
:heart_eyes: トリガーの種類が多い。
・アプリトリガー
・ファイルトリガー
・メール受信トリガー
・パフォーマンストリガー:CPU使用率xx%のトリガーみたいな。
・ユーザー操作トリガー

シナリオ流用の容易さ

製品 対応度 コメント
UiPath :heart_eyes: シナリオをライブラリ化することが可能。
また、テンプレートとして保存することもできる。
WinActor :laughing: ライブラリは自作可能(ただしVBScriptなので、プログラミングの知識が必要)。
公式でテンプレートが用意されているようなので、テンプレートとして保存することもできるはず。
Biz Robo! - すみません。情報が見つかりませんでした。
Automation
Anywhere
:heart_eyes: MetaBotという再利用可能なロボットを作れる。

その他特筆すべきこと

製品 コメント
UiPath ・Orchestratorのクラウド版がある。
WinActor ・Web操作、Excel操作など、カテゴリごとにテンプレートシナリオが用意されているので、やりながら覚えていける(学習コストが低いかも)
・AI-OCRとの連携ができる。
Biz Robo! ・機械学習機能がある。(Basic版)
Automation
Anywhere
・JP1との連携ができる。

まとめ

それぞれの製品で得意/不得意、できる/できないがあるので、「そもそもRPAを使って何がしたいか」をはっきり決めることが重要と思います。
例えば、文書作成やWeb操作など、事務作業を自動化する場合はWinActorやBiz Robo!が強く、システム保守などプログラム的な条件判断を必要とする作業を自動化する場合はUiPathやAutomation Anywhereが強いような印象を受けました。

各製品、こんな場合だといいかも?というパターンをまとめてみたので、参考になればと思います。

製品 こんな場合におすすめ
UiPath ・個人または小規模事業者の場合。
・プログラミング知識(.NET)がある程度あって、自分たちで導入~シナリオ作成を全部やりたい場合。
・凝ったこと(スクリプトを組んだり、ほとんどプログラムに近いこと)をやりたい場合。
WinActor ・プログラミング知識があまりない(または必要としない)場合。
・導入支援や教育などの手厚いサポートを利用したい場合。
・手書き文書の読み取りをしたい場合。(DXSuiteという製品が必要)
Biz Robo! ・RPAで機械学習をやりたい場合。
・とにかく安くスモールスタートで始めたい場合。
・文書作成系をメインとして導入したい場合。(Excelに強いという情報がありました)
Automation
Anywhere
・高機能を生かしてとにかく何でもやりたい場合。
・JP1と連携したい場合。

参考資料

Qiita内で参考にした記事だけ。

【RPA】対応ブラウザー/ツール別比較
【RPA】トリガー・スケジュール機能/ツール別比較

pmtech
自治体・ユーザ企業の発注側の視点からのコンサルティング、開発パートナーの受注側の視点からのエンジニアリングサービスを提供する企業です。
https://www.pmtech.co.jp
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