コロナ禍の深刻な影響が報告された集会(東京都内)

コロナ禍の深刻な影響が報告された集会(東京都内)

 貧困問題に取り組む各地の市民団体が12日、東京・永田町の参院議員会館で集会を開き、新型コロナウイルスの感染拡大防止策の影響で仕事や住宅を失った人たちが急増している実態を報告した。

 とりわけ外国人や一人親の女性らが厳しい実態に置かれており、仕事を失った外国人技能実習生が川や海で魚を取ってしのいでいるという報告も。コロナ禍が社会的に弱い立場にいる人たちに深刻な影響を及ぼしている実情が浮かび上がった。

 集会は「反貧困ネットワーク」の世話人を務める作家の雨宮処凜さんらの呼びかけで、コロナ対策の影響の深刻さを国会議員に伝えるために開催した。

 外国人労働者の相談・支援活動に取り組む「移住者と連帯する全国ネットワーク」によると、5月以降、456人から相談があり、280件の緊急的なカンパを行った。

 このうち125人は在留資格が切れるなどして特定定額給付金の支給対象とならず、就労も許可されないため深刻な困窮状態に陥っていたという。

 大阪市に住むシングルマザーのフィリピン人女性は「外国人には公的給付の情報も伝わりにくい」と切実な表情で語り、同全国ネットの稲葉奈々子さんは「感染症は国籍や在留資格と関係ない。全ての人が公的支援を受けられるよう、短期滞在者も住民基本台帳に記載すべき」と訴えた。

 また、大学生の奨学金問題に取り組む中京大の大内裕和教授が学生の困窮問題を報告した。「学生のアルバイト先のほとんどが飲食、学習塾、観光、イベントの各業界だが、真っ先に休業を余儀なくされ、今後も見通しが暗い」と指摘。「20年~30年前に比べ、アルバイトで生活を支えている学生の比率は極めて高い。秋以降、退学する例が急増するのではないか」と話し、国は学費支援や大学生の生活保護利用を認めるべきと訴えた。