感想、批評書かせていただきます。

鶴琉世乃様著 「 四煌の顕現者:ゼクス・ファーヴニルの闘争譚」

 批評なので、否定的な意見もあります。ご気分を害される方はお戻りください。ただ、より良い作品を書きたいという思いに応えるための意見ですので、その点はご配慮ください。 ※ 作者の方から要望があれば、削除いたします。 ※ ネタバレも含みます。また先入観なく読んでいただくために、まだ未読の方は先に作品を読むことを強く推奨します。 作品はこちらのリンクから。 四煌の顕現者:ゼクス・ファーヴニルの闘争譚 下にスクロールしていただくと、本題に入ります。  ここから本題です。  4話までが1万字程度ということなので、そこまで読んで批評させていただきます。   ■各観点の評価 .文章の分かりやすさ  率直に言うと、私には読みにくい文章でした。余分な言葉が多いと感じました。分かりやすい文章を書く上で、私は引き算が重要だと思います。作者の熱い思いを伝えたいがために、ついつい、いろいろと文章に乗せてしまいがちですが、簡潔な表現の方が読者には伝わりやすいというジレンマがあります。  また、明らかに間違いだろうと思われる箇所もいくつかありました。最後にまとめて、指摘します。  さらに、第一話で、主人公の一人称視点から、神の視点に急に変わります。(養父に拾われるシーン)  私もよくやってしまいますが、視点の変更を極力減らす方が読者は読みやすいです。更に今回の場合、一人称視点から、第三者的な神の視点になるのでより分かりにくいです。  一人称視点ならば、養父の視点に変えた方が良かったかもしれません。もっと言うと、詳しくは後述しますが、私ならこのシーンは丸ごとカットします。  推敲はされているのでしょうか。読者視点に立って、ご自分の作品をよく読んでいますか?  音読すると良いとよく言われています。本作を音読してみてください。引っかかる部分が多くあるはずです。  もしないのだとしたら、綺麗な文章に触れることをオススメします。新聞記事なども良いですよ。簡潔で分かりやすい文章とは何かを学べます。  あとは、文章とは少し違いますが、ルビを振るタイミングも疑問があります。ルビを振るべき言葉が、最初に出てきた時に振られておらず、二回目に出てきた時に振られるという摩訶不思議な事が複数回ありました。  何かこだわりがあるのでしょうか?あったとしても、そんなこだわりは捨てましょう。読者にとっては、読みづらいだけです。   .描写の独創性  独創的な描写は、あまりなかったかと思います。顕現者の設定を語る部分が、オリジナリティだとは感じますが、これは好みが分かれます。設定が語られるのを好む方が居れば、物語の中で自然と見せられるのが好きな方もいます。ちなみに、私は後者です。好みの問題なので、あまり気にする必要はないかと思います。   .物語の魅力  まず、特筆すべきは60万字近くある作品でまだ連載しているという点です。その超長編の%に満たない部分を読んで、物語の魅力を語るのは早計だとは感じます。ただ、Web小説において最初の数話で読者を惹きつけなければならないというのも、共通認識としてお持ちかと思います。  正直に申し上げると、私は続きが読みたいとあまり感じてはいません。理由は、物語に起伏が少なく、入り込めないからです。  改善策としては、飽くまで私の案ですが、冒頭に復讐のクライマックスシーンをもってきて、読者の興味を惹くのもいいかもしれません。  また、復讐相手である家族をもっと憎たらしく描写して、読者のヘイトを集め、カタルシスを目指すのもいいでしょう。  主人公の失望や怒りをもっと徹底的に描写したほうがいいとも思います。  ただ、これらは完全なる私見です。実際に読者はたくさんいるようですし、これだけ長く連載を続けているのはそれだけで感嘆します。  是非、完結まで突っ走ってください。 .登場人物の魅力  登場人物たちの行動に唐突感があり、あまり魅力を感じる事が出来ません。なぜ、その人物がそういう行動をしたのか、それが伝わるように気を付けた方がいいかもしれません。例えば、冷躯、カナンが主人公をなぜそんなに易々と保護したのかという点です。人を一人預かるのはそうとう大変なことだと思います。そんなにすぐ決断できるでしょうか?仮にそれが伏線になっているのだとしても、その匂わせがないので、私には唐突に感じました。 ■総評  細かい事をいろいろ言いましたが、所詮、おじさんの戯言です。笑。多くのファンがいらっしゃって、これだけ長く連載を続けているということは、とても素晴らしいことだと思います。私の戯言はあまり気にせず、今後もご活躍されてください。 以下は、お時間があれば参考までに読んでください。 ■おまけ(話の気になる所をピックアップ) “「【顕現者(オーソライザー)】として認められない限り、おめでとう。君は劣等種の仲間入りだよ」”  普段の会話でこんな言い回しするでしょうか。ここはシンプルに  「おめでとう。これで君は、劣等種の仲間入りだよ。」  【顕現者(オーソライザー)】として認められなかった僕に対して、親友はそう言い放った。  のようにしてもいいかもしれません。 “「私はこれから、貴方を産んだことはない……そう思い込むことにします」”  これも回りくどいですね。ここもシンプルに  「貴方なんて産まなければよかった。」  くらいにしたほうがいいかもしれません。ショッキングな感じも増すと思いますし。 “「お前はもう、私の子ではない。刀眞家ではない――!   ――即刻、出て行ってもらう」”  ここがルビのないポイントですね。刀眞家は初めて出る言葉なのに、ルビがありません。 “父の顔は酷く無表情で、かつ冷め切った目で僕を見つめていた。”  無表情と冷め切った目は同じような表現です。かつ冷め切った目で、はカットでいいと思います。 “しかし、相手は僕なんて存在していないように、僕を見ていなかった。”  これは、こんな感じでどうでしょう。  しかし、母の瞳は虚空を見つめていた。僕の存在はもう目に入らないようだった。 “ ほんの昨日まで――いや、ほんの5時間前まで僕をかわいがってくれていたその態度は、もうない。”  『その態度』が描写されていません。この前に描写されているのは、冷め切った態度ですよね。接続として不自然です。その態度と書くなら、かわいがってくれていた態度が前述されていないといけません。直すならこんな感じですかね。いっそ、かわいがった態度なんて描写するのはやめましょう。  ほんの昨日まで――いや、ほんの5時間前まで僕をかわいがってくれていたのが、嘘のような態度だ。 “「聞こえていないのならいい。――今ここで、俺に殺されるよりはマシだろう。  ……いや。戻ってくるなら殺す」” このセリフの『いや』は不要に感じます。 “ すくなくとも、上3つは基準値より飛び抜けて優秀だったはずなんだ。  【速度】も、確かに異常だった。測定器がカウントストップして故障するくらいだったのに。  僕は、【安定度】がそもそも計測不能だった。”  ここも意味が通じにくいです。つが優秀で、安定度だけ問題があるということですよね?優秀過ぎて計測不能と、問題が合って計測不能が連続して書かれているので分かりにくくなっていると思います。そして、『そもそも』の言葉の使い方に違和感があります。  それとも、ここは安定度もずば抜け過ぎていて計測できないという伏線なのでしょうか。うーん、分かりません。 “そんなはずだったのに、今はこうなるなんて。”  そんなはずだったのに、は不要です。前の記述で、はずだったのにと終っているので。 “ これからどうしよう、なんていう考えも、もうない。  何も望んでいなかったはずなのに。”  ここも冗長です。なんていう考えはいらないですね。例えば  今後のことについては何も考えられない。  これで、いいのではないでしょうか。そして、何も望んでいなかったはずなのに、というのは、何に対してなのでしょうか。 “ 明日からどうしよう?  でも僕は、次の考えにはたどり着けなかった。”  次の考えというのは、次に描写する考えと思ってしまいます。ここもこんな感じでいかがでしょうか。  明日からどうするか、いくら悩んでも、いい考えは浮かばなかった。  そして、前述した視点が変わって、主人公が保護されるシーンですが、ここは全カットでもいいと思います。メリットは二つあります。ここでプロローグを切れば、引きが生まれます。この後、主人公はどうなるんだろうという引きですね。  二つ目は視点が変わらずに済むので、物語がスムーズに進みます。  『でも、カットしたら、保護されたことを読者に伝えられないじゃないか』と思うかもしれません。心配いりません。主人公が目覚めたシーンで会話の中で自然に語らせればいいのです。そうすれば、読者は、「ああ、保護されたんだな。」と分かります。  その際、会話が説明口調にならないように注意が必要ですが。  長々と失礼しました。ほんの参考としてください。  

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