ADRとは「American Depositary Receipt」の略で「米国預託証券」と訳されます。
細かい話、米国の株式ではありません。
米国ではない(外国の)株式を裏付けとして、
アメリカで発行された有価証券のことです。
これを米国株式市場で購入することが可能なので、
米国株投資と言えなくもないです。
このADR銘柄を利用して、配当の税金が安い(もしくはゼロ)の国
の株式へ投資することができます。
NISA口座を利用すれば、
銘柄によっては税金をゼロ円にすることも可能です。
ただし、ADR銘柄には管理手数料なるものが
取られることもあるのでその点は注意が必要です。
この記事では、高配当でかつ配当にかかる税金が
安いADR銘柄を簡単に紹介していきたいと思います。
データは主にdividend.commacrotrends.netより引っ張って来ています。
データは2020年1月25日時点のものになります。

ロイヤル・ダッチ・シェル(ティッカー:RDS.B)

配当利回り:6.42%
配当性向:69.89%
エネルギーセクターに属します。
このセクターでの時価総額はRDS.Bは世界2位になります。
サウジアラムコは民間企業ではないので除外しています。
第1位はエクソンモービル(XOM)、3位はRDS.Aです。
エネルギー産業はどうしても原油価格によって、業績が大きく変わります。
環境問題に一層厳しくなっていく最近の傾向もあり、
長期的に見ても株価の上昇はあまり期待できません。
RDS.Bはイギリスの会社になりますので現地の配当の税金は0円です。
NISA口座で投資することで完全に税金をゼロにできます。

2006年から2014年までは毎年増配されていました。
ただ2015年からは横ばいです、ただ減配はしていません。
直近のEPS(1株あたり利益)は$5.38。
1年で$3.76の配当がありましたので配当性向は69.89%です。

BHPビリトン(BHP)

配当利回り:5.54%
配当性向:78.40%
素材セクターに属します。BHPビリトンは資源メジャーのひとつです。
このセクターでの時価総額としては世界1位になります。
鉄鉱石などの産出が主な仕事です。
素材株にあたりますので、一般的に言って景気敏感銘柄です。
2016年頃の中国不況時は、BHPビリトンの業績も不調でした。

2002年~2015年までは毎年増配されていました。
しかし中国不況による業績悪化で2016年は減配しています。
そこからは持ち直し2019年には2015年の配当額を上回りました。
株主還元への意欲はこのグラフから感じられます。
直近のEPS(1株あたり利益)は$3.98で、1年で支払われた配当は$3.12でした。
よって配当性向は78.40%となっています。

ブリティッシュ・ペトロリアム(ティッカー:BP)

配当利回り:6.44%
配当性向:75.01%
ロイヤル・ダッチ・シェル(RDS.B)と同じく
エネルギーセクターに属し、石油メジャーの一角を占めます。
世界的にESG投資が重要視されていることからも、自然再生エネルギーなどにも
事業の幅を広げています。
エネルギー産業のリスクとしては、2010年の原油流出事故が有名です。
この事故でBPを知ったという人も多いのではないでしょうか。
この年の配当は前年に比べ大きく落ちました。

ただ2011年以降は徐々に配当額を増やし続けていますので、
株主へ還元する姿勢は見てとれます。
直近のEPS(1株あたり利益)は $3.25でした。
直近1年間に払われた配当額は$2.44です。
配当性向は75.01%となっています。
いましばらくの増配余地はありそうです。

ウエストパック銀行(ティッカー:WBK)

配当利回り:6.36%
配当性向:88.07%
セクターは金融です。
オーストラリアのメガバンクになります。
中国や香港、シンガポールやインドネシアなどでも
事業を行っています。
金融業ですので当然のことながら金融危機が起きれば、株価暴落、
減配の可能性もあります。増配の期待はあまり持たないほうが良い銘柄です。
リーマンショック(世界金融危機)の時期には、株価は
$20前後から$10前後まで落ちました。

株価が大きく落ちた2009年のウエストパック銀行のEPSは$1.11でしたが、
1株配当は$0.97と配当性向はおよそ87%となっていました。
リーマンショック時期でも株主に対する還元意識はあったことが見て取れます。
直近のEPS(1株あたり利益)は$1.24でした。
1年間に払われた配当額は$1.09となり、配当性向は88.07%となっています。
増配の余裕は少なそうです。

ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(ティッカー:BTI)

配当利回り:5.81%
配当性向:58.63%
セクターは生活費需品になります。
たばこ会社としては世界最大の企業です。
本社はイギリスにありますが、売上の半分近くはアメリカです。
アメリカのFDAによるメンソールタバコの規制があるのかどうか、
投資の際は不安要素になります。
米ドル換算ですと連続増配は途切れていますが、
イギリスポンド建てでは19年連続で増配していますので、
株主への還元姿勢は評価されて良いと思います。

直近のEPS(1株あたり利益)は$4.42です。
1年間に支払われた配当額は$2.59で
配当性向は58.63%となっています。
今後の増配も期待が持てる割合です。
配当利回りは劣りますが、以下のETFもオススメです。

 

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