小池氏出馬表明 4年の都政問う機会に

2020年6月13日 08時12分
 十八日告示、七月五日投開票の東京都知事選に、現職の小池百合子氏が再選を目指して立候補すると表明した。四年間の実績を検証し、引き続き託せる人物か問う機会としたい。
 小池氏は十二日、記者会見して無所属での出馬を表明した。政党の推薦は要請しないという。
 立憲民主、共産、社民各党が支援する宇都宮健児・元日弁連会長、日本維新の会が推薦する小野泰輔・元熊本県副知事らとの対決構図がやっと固まった。
 小池氏にとっては一期目の審判となる。先日の都議会で小池氏は「東京大改革」の成果を問われ、従業員のいる店を原則禁煙とした受動喫煙防止条例、性的少数者(LGBT)差別を禁じた人権尊重条例などを挙げていた。
 国などに先駆けた内容で評価はできるが、「これが一番の実績です」と言われたら、「えっ?」と思う都民も多いのではないか。豊洲市場の移転延期など「小池劇場」の方が記憶に残る。
 豊洲では土壌汚染などが判明したものの、最終的に移転を容認し「元の鞘(さや)」に収まった。開場遅れで市場業者への補償が生じ、観光拠点施設も頓挫しかけた。混乱が大きく、成果と言い難い。
 五輪・パラリンピックの経費精査は約四百億円の削減につながったと説明したが、訴えていた競技会場見直しは実現しなかった。
 思い起こせば、小池氏は「七つのゼロ」という歯切れの良い公約を掲げていた。待機児童や残業など、七項目の大半は解消されていない。実績がパフォーマンスに追い付かないのが実情である。
 新型コロナウイルス対策に目を転じると、週末の外出自粛を要請したのは三月二十五日。五輪を優先し、延期決定まで厳しい対応を取らなかったのではないか、と指摘されている。
 警戒を呼び掛ける「東京アラート」を解除したのは、出馬表明前日の今月十一日。警戒を強化したり緩めたりする手綱が恣意(しい)的ではないか、との疑念が残る。
 一方、休業要請に応じた店舗への協力金など、都の対策は豊富な財源があってこそだ。九千億円超の財政調整基金をほぼ使い切るため、今後は融通が利かなくなることを肝に銘じたい。
 これからのコロナとの共存時代を、どう乗り切るか。公約実現までの工程や財源の裏付けを示し、各候補者間で政策論争が都民に分かりやすく建設的に展開されることを望みたい。

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