【ソウル=恩地洋介】北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長は4日付の党機関紙「労働新聞」で、韓国の脱北者団体が北朝鮮指導部を批判するビラをまいたことに強く反発する談話を公表した。南北の敵対行為を禁じた軍事合意の破棄や、開城工業団地の完全撤去に言及し「南朝鮮(韓国)当局は覚悟しておかなければならない」と警告した。
脱北者団体の「自由北朝鮮運動連合」は5月31日、ソウル近郊の金浦市で北朝鮮体制を非難する50万枚のビラをつるした大型風船20個を北朝鮮に向けて飛ばした。韓国メディアによると、ビラには「新たな戦略核兵器で衝撃的行動をするという偽善者金正恩(キム・ジョンウン)!」と記され、一ドル紙幣やメモリーカードも添えられた。
金与正氏は談話で「悪意に満ちた行為が『表現の自由』の美名の下に放置されれば、南朝鮮当局は最悪の局面を見ることになる」として韓国政府に対処を要求した。
労働新聞は同じ日の紙面で、中国共産党が脅威だと発言したポンペオ米国務長官を非難する党中央委国際部報道官の談話も掲載し「共産党と社会主義をどうにかしようという荒唐無稽な夢を見てはならない」などと主張した。