
「携帯電話の充電がなくなりまずいと思った。必死になって、周りが見えていなかった」─。休業中だった横浜市中区のインターネットカフェに侵入したとして、建造物侵入罪に問われた住所不定、無職の被告(41)。11日に横浜地裁で開かれた初公判では、新型コロナウイルスの影響で根城だった東京都内の店舗を追われてからの苦悩と事件までの経緯を明らかにした。
検察側の冒頭陳述や被告人質問によると、被告は工場や警備の日雇い労働で月9万円ほどの収入を得ていた。しかしコロナ禍で2月から仕事がなくなり、3月には暮らしていた都内の店舗も休業に。「目標の1人暮らしのため少しずつためていた」貯金を減らす日々が始まった。
訪れた都内の市役所で本格的な支援は得られず、横浜市に流れ着く。中区で長年活動する生活困窮者などの支援団体に助けを求め、関係者からの返信を待つ間に魔が差したという。