厚生労働省は12日、新型コロナウイルスの感染者と接触した可能性を通知するスマートフォンアプリが来週中にも利用可能になると明らかにした。14日以内に感染者と約1メートルの距離に15分以上いた場合に通知し、症状があるか、身近に感染者がいればPCR検査などを受けてもらう。
同省によると、利用するにはスマホのアプリストアからダウンロードする必要がある。アプリは自動的にスマホの基本ソフト(OS)内で動作。近距離無線通信「ブルートゥース」機能を使い、アプリ利用者同士の距離や接触時間を記録する。氏名や位置情報などは収集しない。
アプリ利用者が陽性と診断された場合、厚労省の患者情報管理の新システム「HER-SYS(ハーシス)」で「処理番号」を発行する。この番号をアプリに入力すると、14日以内に濃厚接触した可能性がある他のアプリ利用者に通知が届く。
ハーシスとアプリの情報はひもづけしないため、厚労省は誰が通知を受けたか把握できない。通知を受ける側も、誰が陽性と診断されて通知が届いたのかは特定できない。
通知を受けた人には、症状があるかや、身近に感染者が出ているかを尋ねる。どちらかに該当すれば、最寄りの帰国者・接触者外来などを紹介。医師が必要と判断すれば検査を受ける。
症状がなく、身近に感染者もいない場合は、体調の変化に気をつけるように求めるのみで、検査には誘導しないという。
スマホのOS「アンドロイド」「iOS」に対応する。アプリを利用するかや、陽性と診断された場合に登録するかは任意となる。
海外の研究では、感染拡大の防止には人口の6割以上が利用する必要があるとの研究もある。総務省の調査では、日本のスマホ保有率は約67%で、どこまで普及させられるかが課題だ。