能〈船弁慶 重前後之替〉
シテ/坂口貴信
子方/谷本康介
ワキ/宝生欣哉
ワキツレ/大日向 寛、御厨 誠吾
アイ/山本則重
笛/杉 信太朗
小鼓/飯田清一
大鼓/亀井広忠
太鼓/林 雄一郎
地頭/観世清和
坂口貴信師は去年の無限能での善界白頭以来。坂口貴信師の切能は大好きであるので、楽しみにしていた。
三番立の最後の能なので、先の二番で身体の密度調整から少し解き放たれて、密度の重心を少し上げる。ロックコンサートのノリに近い感覚で観た。
強い船弁慶の舞台。ワキも囃子もそう。前シテの静の謡を聴いて、謡がまた良くなっている。抜けのある伸びがある。身体の密度は切能の密度で前シテが橋掛かりで舞う所も濃すぎず、薄すぎず、良い塩梅。
前シテの中入からアイが船の作り物を運んで、ワキとワキツレが一緒に乗り込んで、嵐の場面の囃子の緩急の見事さ。スローカーブから豪速球になる繰り返しの様な囃子。
後シテは揚幕を半幕に上げ、床机に坐す平知盛の格を見事に表現。見惚れてしまったね。太鼓の林 雄一郎師も太く強い音色。
揚幕が下がり、早笛から後シテ幕出。流レ足や地謡の緩急などロックコンサートのクライマックスみたいなグルーヴで観れた。子方の谷本康介師も良かったのを付け加えておきたい。
付祝言は高砂。