研究室メンバー
加藤 岳生 | 准教授 | kato_at_issp.u-tokyo.ac.jp |
阪野 塁 | 助教 | sakano_at_issp.u-tokyo.ac.jp |
玉谷 知裕 | PD | tamaya_at_issp.u-tokyo.ac.jp |
山本 剛史 | D2 | t.yamamoto_at_issp.u-tokyo.ac.jp |
立野 雅大 | M2 | t.masahiro_at_issp.u-tokyo.ac.jp |
山 正樹 | M1 | yama_at_issp.u-tokyo.ac.jp |
石川 卓門 | M1 | takuto-ishikawa_at_issp.u-tokyo.ac.jp |
江口 浩子 | 秘書 | eguchi_at_issp.u-tokyo.ac.jp |
最近の研究から
加藤研究室では、メゾスコピック系というミクロとマクロの狭間でみられる系の非平衡輸送特性を主な研究対象とした理論研究を行っています。少し前の研究成果はこちらをご覧ください。
量子ドット系におけるほとんどトポロジカルな断熱ポンピング
量子ドットと電子浴間の結合強度が十分に大きな振幅で駆動されるときに生じる断熱電荷ポンピングに着目し、理論研究を行った。一回の操作でポンプされる電子数が0から1の間の値に収束して量子化することを理論的に示し、量子化する値が電子浴のバンド構造によって決定されている事を初めて指摘した。この結果は、量子ドットと電子浴が強く結合する量子的な輸送を理解する上で電子浴の詳細が重要となる事を示すものであり、メゾスコピック量子系に関する熱力学を考える上で重要な示唆を与えるものであると期待される。
M. Hasegawa, É. Jussiau, and R. S. Whitney, Adiabatic almost-topological pumping of fractional charges in noninteracting quantum dots, Phys. Rev. B 100, 125420 (2019). [Preprint: arXiv:1904.06488].
サブバンド描像に基づく新しい高次高調波発生の量子理論
固体中における高次高調波発生のメカニズムを理解するために、強い光による電子の駆動現象を理論的に考察し、現在広く用いられている半古典模型(3ステップ模型)では記述できない新しい量子特性を予言する理論を構築した。固体中での強い光によって生じるサブバンド描像を用いることで、サブバンド間に新しい量子振動現象が現れることを初めて示した。この新しい理論は、高次高調波発生におけるプラトー構造を自然に説明できるだけでなく、動的局在や動的フランツ-ケルディッシュ効果などの従来の非摂動論的領域における非線形現象の諸概念との関係を明らかにすることができる。
T. Tamaya and T. Kato, Sub-band picture of high-harmonic generation in solids, Phys. Rev. B 100, 081203(R) (2019). [Preprint: arXiv:1906.00596]
超伝導回路における量子臨界現象の観測方法の提案
超伝導量子ビットと伝送線路を組み合わせた超伝導回路において、量子臨界現象が生じる回路の作成方法を理論的に提案した。提案した超伝導回路にマイクロ波を照射させると、マイクロ波散乱の反射率に量子臨界現象を反映した特徴的な周波数依存性が現れることを明らかにした。この研究成果により、強く相互作用する量子ビット-光子複合系を舞台とした量子臨界現象を初めて観測する具体的な指針が与えられたこととなる。なお、本研究成果は特に注目される研究成果として、Journal of Physical Society of Japan誌のEditor's Choiceに選出された。
Tsuyoshi Yamamoto, Takeo Kato, Microwave Scattering in the Subohmic Spin-Boson Systems of Superconducting Circuits, J. Phys. Soc. Jpn. 88, 094601 (2019) [Editor's Choice]. (Preprint: arXiv:1904.03051)