血液を採取するプレハブ棟ではアクリル板設置など感染防止対策が取られている=11日午後2時、宇都宮市中島町

 新型コロナウイルスの感染状況を正確に把握し、効果的な予防対策に役立てるため、宇都宮市中島町のクリニック「インターパーク倉持呼吸器内科」で14~30日、新型コロナの抗体の有無を調べる大規模検査が行われる。東京医科歯科大の調査研究の一環で、同市内1千世帯を無作為に抽出し、採血検査と問診票記入を含めた調査への協力を求める。同クリニックによると、一般市民を幅広く対象にした調査は県内で初めて。

 同クリニックは、同大の連携医療機関。市の協力を得て、住民基本台帳から年齢や性別が偏らないように検査対象世帯を選び、10日に郵送で案内を通知した。対象者は、同居の家族を含めて約2300人となる。

 検査は無料。同意した人を対象に、同クリニック敷地内に特設されたプレハブ2棟で行う。消毒や換気、アクリル板設置など感染防止対策を徹底した上で少量の血液を採取し、ウイルス感染した場合、体内にできる抗体の存在を調べる。30分ほどで終わり、結果は当日中に本人へ通知される。

 対象者には家庭環境や生活習慣、就業状況などの詳細について問診票に記入してもらい、感染しやすい人の行動傾向やリスク因子なども明らかにする方針だ。

 調査に主導的に関わる同クリニックの倉持仁(くらもちじん)院長(47)は「無症状の人を含めた感染の広がりを的確に捉えることで、今後の医療施策に必要な基礎データを提示することができる。市民には、積極的な協力をお願いしたい」と呼び掛ける。

 同大は今回検査を受けた人を対象に、秋にも2回目の抗体検査を行い、変化を調べる方針という。今回の調査では、対象者以外の市民の検査には応じていない。