5月30日の日本経済新聞に「休業者、最多の600万人 統計にみる4月の経済異変」と題する記事が掲載されました。
この記事の根拠となっている総務省の労働力調査では、雇用されている人で「休業者」に該当するのは、仕事を持ちながら調査週間中に少しも仕事をしなかった者のうち給料・賃金の支払を受けている者又は受けることになっている者と説明されています。つまり、休業者とは「雇用契約を維持したまま給料だけが支払われている状態の人」を指します。記事には以下のようにあります。
“緊急事態宣言が出た4月の労働市場で、「リーマン・ショック時には見られなかった現象」(高市早苗総務相)が起きた”
“リーマン危機後の休業者は09年1月に153万人に達したが、今回はそれをはるかにしのぐ”
確かに異変といえる状況だと思われるものの、いまひとつピンとこない人もいるかもしれません。しかし、実際の数字をグラフにしてみると、その異様さを一目で感じ取ることができます。
まず、以下はリーマンショック後の完全失業者数と休業者数のグラフです。リーマンショックが起きてから2年間の推移を見ると、完全失業者数のピークは2009年9月の363万人、休業者数のピークは10年3月の158万人です。月によって多少の波がありますが、完全失業者数については、緩やかに右肩上がりになっている傾向が見て取れます。一方、休業者数についてはほぼ横ばいです。
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