【ニューヨーク=吉田圭織】米政府が支援する3つの新型コロナウイルスのワクチン開発計画が今夏にも治験の最終段階などに入ることが10日、分かった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の関係者の話として報じた。有効なワクチンは安全に経済活動を再開する上で必須とされており、急ピッチに開発が進められている。
報道によると、7月に米バイオ医薬ベンチャーのモデルナがワクチン開発の最終段階に当たる治験の第3段階目に入る。米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は9月に予定していた初期段階の治験を7月後半に前倒しすると10日、発表した。8月には英オックスフォード大学と協力する英製薬大手アストラゼネカも第3段階目に入る。米政府の支援を受け各社は約3万人を対象にワクチンとプラセボ(偽薬)を投与し、新型コロナ発症率の差を確認する。通常、同段階では数千人が治験対象となるが、開発を加速するために規模を拡大する。
これらとは別に、米政府が100億ドル(約1兆700億円)を投じた「ワープ・スピード作戦」の支援対象となっている米ファイザーのワクチン候補は7月にも第3段階の治験に入る準備を整えている。WSJ紙によると今後、仏サノフィが開発するワクチンも大規模な治験を政府が支援する可能性もあるという。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、新型コロナのワクチン開発計画は世界中で135に上る。しかし、第1段階以上に進んでいるものはごく少数に限られる。