細野 こういう問題を考える時にみなさんに知っていただきたいと思うのは、処理水を福島第一原発の敷地内であれだけ保管し続けることのコストはもちろん、リスクの大きさですね。漏れ出すリスクが常にあって、台風や竜巻、場合によってはまた津波が来るかもしれない。もうスペースが残っていない中で、さらに増えるとデブリ(※注:原発事故によって原子炉燃料が溶融し、原子炉構造材や制御棒と共に冷えて固まったもの)を置くスペースを圧迫する可能性もありますよね。
田中 そうですね。もし何年も長期保管を続けるなら、耐震も評価し直さなきゃいけない。
細野 耐震基準をクリアしていないんですか。スロッシング(※注:タンクなどの容器内の液体が外部からの比較的長周期な振動によって揺動すること。この揺動により、構造が破壊されたり、液体が容器から溢れ出る可能性がある)が怖いと聞きましたが。
田中 全然していません。そういうことも含めて、きちんと規制をクリアしているわけではない。あくまでもテンポラリ(一時的)なものなんですよ。
細野 2022年にタンクは満杯になると言われています。これ以上先延ばしにすることは許されないこと、人的、コスト的なリスクも大きいことをどうやって社会にわかっていただくかですよね。そろそろ政治が決めなければいけません。
田中 政治決断が必要な局面は、とうに過ぎてしまっているんです。それをズルズルと先延ばしにして、無用な社会の混乱と浪費を招いているとしか思えない。タンクも1基につき1億円を超えるコストがかかっていますが、いずれは全て廃棄物になるんですから。