某大手電機メーカーの孫会社のアフターサービス部門に転職して2年目だった俺は、
常に月100時間程度の残業をしていて、ちょっときついなぁと言う感じは自分でも分かっていた。
お客様先の都合により早朝からの勤務や夜間待機も有り、一日の大半の時間は社用車の運転に費やされる。
一日中自社のコールセンターから社用携帯に指示が飛んできて、基本的にはその日の内に指示を処理しなければならない。
部材の入荷状況や指示の処理具合によっては翌日以降に持ち越す事も出来るが、持ち越した日が苦しくなるだけだ。
諸先輩方も同様な労働形態で十数年やってきたと言われていたので、
今は苦しいが自分もいつか慣れる事が出来るだろうと漠然と考えていたが甘かった。
その日は突然やってきたのである。
幸いなことに、翌日には心療内科の予約が取れてうつ病で有ると診断された。
元々心が強くない事も有るのでもっと落ち着いた職場を探そうと思った。
しばらくは健康保険の傷病手当金で食べていたが、それの期限も切れた。
次に失業給付金を受給することにした。なかなか心は復活しそうにない。
医療費を圧縮しようと思って自立支援医療費の申請をしたらついでに障害者手帳も交付された。
俺は精神障害者2級に該当するらしい。
もう貯金も底を尽きようとしている。
日常生活は辛うじて行えているが、いきなりフルタイムの仕事に戻れるかと言うと自信は全く無い。
職人になれるような技や資格も無いし、振り返ってみれば学歴だってガッタガタだ。
オリンピック景気が有るから2020年になれば良い仕事が出てくるかもしれないと思っていたが
このコロナ騒動のせいでハローワークに出入りすることさえ制限が出てきている状態だ。
よく関東で最高気温が記録される市に隣接しているこの市も6月初旬になれば真夏日になる事がたびたび有る。
少し前から自粛太りを解消する目的とガソリン代の節約を兼ねて少し遠いハローワークには自転車で行っている。
ハローワークには14時から14時半までに着けばいい。今日も自転車に乗ってゆっくり出かけよう。
快晴とまではいかないが良く晴れていて暑い。昼下がりの真っすぐな太陽光が背中に刺さるようだ。
家から出て5分経つか経たないかでもうTシャツの背中は湿っている。
秋葉原通り魔事件から12年経ったというニュースを何日か前に見た。
俺もヤケクソになって自動車で特攻したり、刃物を振り回してしまうのか…?
失うものはもう何も無い。生きていくのは辛い。
ここ数日そんな様な考えで頭の中が一杯だった。
数メートル先にはおばちゃんの乗るママチャリがゆっくりと走っていた。
ママチャリの前輪が道路の僅かな段差を拾い、ベルが小さく「リン…」と鳴った。
それを追い越そうとした俺の自転車も僅かに遅れてベルが「リン…」と鳴った。
なんだか自転車同士で挨拶してるみたいでかわいいじゃないかと思った。
焦燥していた気持ちが一気に和らいだ。
無事ハローワークにはたどり着けた。
来週もちゃんと心療内科に行くし、就職活動も続けていこうと思う。
初めて増田に文章を書いてみて、予想以上に反響を頂けて驚いています。
傷病手当金は期限が切れたと言うよりは求職の為に打ち切ったと言う方が正確でした。
障害年金、検討してみようと思います。助けてくれてありがとうございます。
よかったね。
増田の文章オレは好きだよ
これ完全に障害年金貰えるコースじゃん 条件的なタイミングで貰えない奴もいるからかなり恵まれてるな
なによりもまず休んだことが幸いしたと思う。さらにほんの少しのことで心は救われるのかもしれない。
小説家じゃん
かわいい。増田さん偉い。🐈ねこおうえん
びっくりした。 この文章を読んでも何も感じない。自転車のベルが鳴るのも、人と人が出会うことも、ただの偶然。ベルが鳴って嬉しいと感じる人も居れば、それを不快に思う人も居る...
応援したくなる。なんかちゃんと言葉を選んで、増田のためになる言葉を投げかけようと思った。 自分も鬱で休職していたが、そのときは実家に戻っていた。不眠症もきつかったし。い...
いい文章でした。応援しています
自演気持ち悪い