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患者の気持ち

枕の歴史枕の歴史

子猫や子犬が身を寄せ合い、互いの体に頭をのせて寝ている姿はとても微笑ましいです。このように、動物も頭を何かにのせて寝ていることがあります。人間は「枕」を用いて寝ています。人類最古の文明とされている紀元前7,000年の古代メソポタミア文明で既に枕を使用していたことが示されています。エジプト文明でも紀元前1,300年のツタンカーメン王の象牙製枕が、古代中国では石や木で作られた枕が見つかっています。紀元前100年頃のローマ・ギリシャ時代よりワラやアシを用いた柔らかい枕が出現します。日本では古墳から石枕が発見されていますが、645年の大化の改新に関与した藤原鎌足と思われる墓からは玻璃玉で構成された玉枕が見つかっています。平安時代後期(11世紀)に藤原家が使用した真綿がつまった枕が存在します。平安時代から鎌倉時代にかけて絵巻などに描かれている枕は木製の角枕であり、鎌倉時代以降に僧侶を中心に柔らかい枕を用いるようになったとされています。江戸時代は髷(まげ)を代表に様々な髪型をするようになり、それを崩さないように首に枕をする箱枕が用いられていました。明治4年の断髪令が発せられてから、現在のような柔らかい枕(坊主枕)が一般的になり、昭和40年頃より現在のような柔らかい平枕が一般的に使用されるようになったと考えられています。

枕の意義枕の意義

脳の重さは5歳でほぼ成人の90%、10歳で成人と同じ約1.4kgとなります。頭蓋骨は15歳まで成長し、成人と同じ頭の大きさとなります。この頭の重さは成人で約5kgといわれています。つまり人間は起きている時、首と肩に約5 kgの重量がかかっていることになります。横になった時に、首と肩の負担を軽減させる役割として枕があります。また、枕の効用には頭の血を下げる働きがあり、頭を休めて眠る時には頭に血が上らないようにする必要があるとされています。

首や肩に良い枕とは?首や肩に良い枕とは?

昭和30年頃の調査では枕の高さ(枕高)が8~10cmのものが多く使用されていました。1cmずつ枕の高さを変えて最も快適な高さを調べた昭和40年前後に行われた2つの研究では、5~8cmの枕高が最適としています。首や肩に筋電図をつけて、最も首肩に負担の少ない枕高を調べた報告では6cmとしています。頸椎の形態をMRI検査で調べると、後頭部から頸部にかけて6.5cmの高さとして頭を少し低くした方が脊髄への負担が少ないとした報告もあります。最適な枕高は体格によって変わるとも言われており、自分の握りこぶし大の高さが最適とも考えられています。このように首や肩に良い枕はやや低めの枕であることがわかります。

呼吸には高い枕が良いのか?低い枕が良いのか?呼吸には高い枕が良いのか?低い枕が良いのか?

首や肩に負担が少ない枕は低いことがわかりましたが、呼吸に楽な枕は低い枕が良いのでしょうか?手術をする時に全身麻酔をかけられることがあります。この全身麻酔は自分で呼吸をすることすら忘れてしまうほど意識を落とす状態となるため、麻酔科の先生が手術中に呼吸の管理を行います。基本的には人工呼吸器にのせますが、人工呼吸器にのせる前後はマスク換気といって麻酔科の先生自身が患者さんの口にマスクをあて、ゴム製のバックで空気を肺に送って呼吸を助けます。この時に、口や鼻から肺に空気が入りやすい状態をとります。つまり、仰向けで寝ている状態で頭の位置を工夫して空気が入りやすいようにするわけです。首を後屈(後ろに伸ばす)して枕を高くする頭位(Sniffing Position)や首を後屈して肩枕を入れて頭を下げる頭位(Triple Airway Maneuver)にするとマスク換気がしやすくなります。これはどちらも口と肺の入り口である気管の軸を一致させ、空気の通り道を直線にするための頭位です。つまり、枕は高くても低くても首が後屈できていれば呼吸には良いことがわかります。Sniffing Positionは7cmほどの枕を頭の下に置きますが、首を後屈伸展させるために麻酔科医があごをしっかり手で保持します。このように枕が高い状態だと自然な後屈は難しいので、肩または首にあたる部分を高くして重力で頭を下げ、首を後屈させる方が容易となります。つまり、首にあたる部分が高く頭の部分が低い枕が呼吸に良いことがわかります。

低い枕をしてもいびきをかく場合は?低い枕をしてもいびきをかく場合は?

0000いびきは睡眠中に、鼻や喉の狭い部分に空気がぶつかったり、振動したりして起こる異常な呼吸音であり様々な原因で生じます。アレルギー性鼻炎や鼻中隔弯曲症などによって鼻が狭い場合や、のどちんこ(口蓋垂)が長い、扁桃の肥大などによりのどが狭い場合、下顎が狭いことにより舌が落ち込んでのどが狭くなる場合などいろいろあります。仰向けに寝ると、重力によって軟口蓋や口蓋垂、舌がのどの後壁側に落ちやすくなりのどが狭くなることはスタンフォード大学の研究で報告されています。特に仰向けで口呼吸すると舌が落ち込みやすくなることをレントゲンで詳細に示した報告が国立立川病院耳鼻咽喉科(現在の国立病院機構災害医療センター)から示されています。鼻も横になると鼻粘膜がうっ血し10~25%鼻腔が狭くなることが報告されています。では、いびきの原因が何の場合に、低い枕の効果があるのでしょうか?低い枕は、口と気管の軸を一致させて空気を入りやすくさせることは説明しました。つまりその軸上で狭くなる要因が低い枕で改善する場合に、いびきの改善を認めるわけです。それは軽度の舌の落ち込みです。高度の舌落ち込みではマウスピースなどを用いない限りいびきは改善しません。また、鼻閉が原因でいびきをかく場合は、仰臥位で完全に鼻閉となり口呼吸となり舌の落ち込みがないまたは軽度の場合に低い枕でいびきは改善します。以上から、低い枕でもいびきをかく場合は舌の落ち込みが高度な場合、鼻呼吸で口蓋垂や軟口蓋部分に狭窄がある場合、鼻閉が中途半端にある場合が考えられます。

当院の治療当院の治療

当院では、痛みが少ないレーザーによるいびき治療を保険診療で行っており、口蓋垂とその周辺部を切除し、糸で縫い上げることで上気道を広くし睡眠中の呼吸状態を改善します。鼻中隔弯曲や肥厚性鼻炎で鼻腔が狭い場合は、レーザーによる鼻腔粘膜焼灼や鼻中隔矯正術を行っています。枕を変えてもいびきをかいている場合は、その原因を診断しています。手術に関係なく当院へ気軽にご相談ください。

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東京ロンフェルメ耳鼻いんこう科

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