こんな面白い仕事があるのかと実感。
落合 祐輔/YUSUKE OCHIAI
電気・情報生命専攻修了
通用するのか確かめたかった。
大学では電気・電子系を専攻し、なかでも次世代の酸化物半導体の材料研究に取り組んでいました。一方で大学に入った頃から二輪車や自動車に興味を持ち、「自分の二輪車が欲しい」とアルバイトをしてお金を貯めてHondaの二輪車を購入。学生時代はよくそれに乗っていました。二輪車や自動車を自分で操るのは、楽しかったですね。そして大学院に進んで就職を意識し始めた頃、研究室の仲間たちが専攻を活かして電機メーカーや電力会社の研究所などを志望するなか、私は自分が興味のあることを仕事にしたいという気持ちが募り、自動車メーカーに就職できないかと考えるようになったのです。とはいっても、「自動車メーカーで私の知識が活かせる場があるのか?」と不安に思っていたところ、インターネットで見つけたのがHondaのインターンシップでした。内容を確認してみると、電動車の駆動用のバッテリーの研究開発を体験するというコースがあり、ここなら電気・電子専攻の私も合うのではないかと思って応募したのです。私自身もユーザーでなじみのあったHondaの研究開発部門では、果たしてどんな技術者がどんなふうに仕事をしているのか、それを自分の眼で確かめてみたいという思いもありました。
未知のバッテリー制御に挑戦。
電動車のバッテリーの研究開発のインターンシップに参加してまず驚いたのは、そのスケールの大きさ。研究所の広大な1フロアがすべてバッテリー関係で占められ、予想以上に多い技術者の方々の熱気で満ちていました。そうは言っても自動車の研究開発はエンジンが主役で、バッテリーは脇役なのかと思っていたら、まったく違っていた。これから電動化が急速に進み、その心臓部となるバッテリーの研究開発が花形になっていくとのことで、自動車メーカーに対する認識が変わりました。また、研究所で実際にバッテリーを目の当たりにした時も衝撃を受けました。フィットハイブリッドに搭載されている48セルのバッテリーパックも相当巨大でしたが、フィットEVのバッテリーは432セルとケタ違いで、「これが自動車に載るのか!」と圧倒されて…そんな想像を絶するバッテリーの電流や電圧を制御し、いかに安全性と走行性を両立させるかという開発をインターシップでは体験しました。制御の知識はなかったのですが、社員の方に教えていただきながら取り組んでみると、これがとても面白い。傾斜45度のオーバルのテストコースでの走行実験にも同乗でき、とても興奮しました。こうして自分が考えた仕組みを実車に載せてリアルに検証するところまで関われるのは、自動車メーカーならではの醍醐味だと思いましたね。
醍醐味をまさに実践する毎日。
もうひとつ、インターンシップに参加して良かったのは、Hondaの文化を肌で感じられたこと。ある研究者の方から「バッテリー試験を行う充放電装置が不足しているので、廃品を集めて自分で専用の装置を製作した」と聞き、そんなことができるのかとビックリしました。Hondaにそうした創意工夫が受け入れられる風土があるというのは、やはりインターンシップに参加しないとわからない。そして現在はインターンシップの実習先と同じ部門に在籍し、バッテリーの制御に奮闘しています。シミュレーションモデルで最適な制御を検討し、自分が導き出した値を入力したバッテリーを実車に積み込み、時にはNSXなど普通ならまず乗れない超高級車も操って、テストコースで実証を重ねていく。インターンシップで感じた、自動車メーカーならではの面白さをまさにいま堪能しています。これからの時代、自動車業界はもとより電機業界やIT業界でもバッテリーの重要度がますます高まっていく。バッテリーに精通した技術者は社会からより求められていくと思いますし、なかでも高度で複雑な制御が求められる電動車のバッテリーを究めれば、技術者としての価値がいっそう高まっていきます。Hondaのインターンシップで、自分の興味のある分野で自分の新たな可能性を見つけることができ、本当にいい機会だったとあらためて感じています。
インターンシップは、自分が興味のある企業の仕事が面白いかどうか、やりがいがあるかどうか、社風は自分に合うかどうかなどを見極められる貴重な機会です。現場の社員の方と直に接して生の声を聞くこともできますし、ぜひ参加したほうがいいと思いますね。
バッテリーセル解析コースのインターンシップの流れ
モジュールの分解実習
電極切り出し・
コイン電池の作成
シミュレーション実習
ジェイドによる
PGコース走行体験
学習内容の発表