木村花さん急逝で考える、ネットで中傷された時「真っ先にすべき事」とは
①IPアドレスと投稿日時については、これですぐに個人が特定できるわけではないので、原則開示する
②現在は発信者情報に含まれていない電話番号を発信者情報に含める
③ログを年単位で保存することを義務づける
④ログは投稿時に保存することを義務づける
⑤運営会社の海外法人が日本法人を設立している場合は、日本法人に申立書や訴状を送れば手続を進めることができるようにする
「これまでお話ししたように、開示請求にはいくつものステップがあって、しかも、やってみないとわからないということも多い。ひとつの段階をクリアして、よし、特定に近づいたと思ったら、次のステップで『該当する情報がありません』となることもあります。
正直、法的な問題であればまだ争いようがありますが、開示すべき情報がないといわれてしまうとどうにもなりません。警察が動いたとしても無理です。完全にお手上げになってしまうのが現状なんです」
総務省では今年4月「発信者情報開示の在り方に関する研究会」が開かれていて、その参考資料には、この分野での第一人者・清水陽平弁護士の資料が添付されるなど、現場の弁護士さんの声が反映されているようで、期待はできそうでしょうか?
「清水先生は非常に経験豊富ですので、私が考えていること以上のことを考えていると思います。ただ、資料の中には『ログ保存期間』の話が入っていなかったので、そこは研究会でも取り上げてほしいと思っています。開示請求は時間との勝負になってしまっていますから、ぜひ改善してもらいたい。
亡くなられた木村さんのことを利用するつもりは毛頭ありませんが、事実として改正に向けた機運が高まったのはまちがいありません。ネット中傷の被害者が増えていることも間違いないと思いますので、これら被害者を救済すべく、開示請求をすれば必ず投稿者を特定できるような制度づくりをしっかりとしてもらいたいと思っています」
必ず特定され、必ず裁かれるということがみんなに広がれば、誹謗中傷の抑止力にもなりますしね。
「このタイミングで抜本的な見直しをしてもらわないと、次の(法改正の)機会がいつになるかわかりません。改正に不備があると、その間にまた制度の狭間で救済されない人が出てしまいます」
では、もし自分がSNS上で誹謗中傷のターゲットとなってしまったら……どうしたらいいのでしょうか。
「まずは、該当する投稿をURL付きでスクリーンショットやプリントアウトしてください。スクリーンショットはスマホからだとURLがでませんので、出るように工夫するか、パソコンで行ってください。あと、SNSの場合、投稿してある程度時間が経過するまでは『○分前』『○時間前』『○日前』といった表示がされることがあるので、きちんと『○年○月○日○時○分』と表示される方法で行ってください」
心ない言葉を投げかけられ、冷静に考えられなかったとしても、がんばって、スクショだけはしておきましょう。
そして、「できるだけ、すぐに動くこと」と小沢弁護士はいいます。